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【実例あり】アスベスト解体費用の代表的な補助金の取得条件や金額をご紹介します。

アスベスト解体費用

令和3年(2021年)4月、解体工事を行う前に建物にアスベストが使われているかどうか調査することが義務化されました。

アスベストの含有が確認されると、自治体によって条件が異なりますが、アスベスト調査や解体工事に対する補助金が受け取れます。この記事では、アスベスト調査の詳細や補助金の取得条件、金額について解説いたします。

なお、条例や工事規模によって特別な基準や手続きが必要な場合がございます。本記事で概要をご確認いただいたあとは、各自治体のホームページ等で必ず詳細をご確認ください。

また、令和4年4月1日のアスベスト関連法令の改正実施内容に関しましては、こちらのページで詳しく解説しています。解体業者の現場目線で変更点を解説していますので、ぜひご参照ください。

令和4年のアスベスト改正実施はYouTube動画でも解説しています!

アスベスト関連法令の改正実施の解説はウラシコのYouTubeチャネル【ウラシコチャンネル】でも解説しています。解体業者の目線で現場がどのように変わるのかわかりやすく説明していますので、ぜひこちらもご参照ください!

国が制定しているアスベスト関連工事の補助金制度

国が制定しているアスベスト関連工事の補助金制度

アスベスト調査に対する補助制度

・補助事業の対象:建築物の吹付け材のアスベスト含有の有無に関する調査

・対象建築物:吹付けアスベスト、アスベスト含有吹付けロックウール、吹付けバーミキュライト、吹付けパーライトが使用されている可能性がある建築物

・補助額:限度額は原則として25万円/棟

参考:石綿ポータルサイト-補助金(厚生労働省)

自治体によって支給条件や支給額、申請方法が異なりますので、事前に管轄の自治体の窓口などで確認しましょう。補助金の給付が決定したら、調査業者に調査を依頼するという流れになります。

アスベスト除去工事に対する補助制度

・補助事業の対象:アスベストの除去、封じ込め、囲い込み工事

・対象建築物:吹付けアスベスト、アスベスト含有吹付けロックウールが使用されている可能性がある建築物

・補助額:地方公共団体の補助額の1/2以内(かつ全体の1/3以内)

参考:石綿ポータルサイト-補助金(厚生労働省)

アスベスト除去工事に対しても国としては補助金を交付する制度を創設しています。アスベストの除去工事の場合にも、申請窓口は各自治体になります。自治体によって申請方法、交付額などが変わってきますので、事前に確認が必要です。

自治体におけるアスベスト関連工事の補助金制度

自治体によってはアスベスト調査や除去作業に対して補助金が出ます。しかし、管轄地域によって条件や金額が変わってくるので、該当する地域の情報をホームページなどでよく確認しておきましょう。

補助金申請の条件

申請対象のアスベストは、吹き付けアスベストやアスベスト含有吹き付けロックウールがほとんどです。また対象者となるのは対象建築物の所有者で、アスベスト調査や除去に対して他の補助金を受けていないこと、固定資産税などの税金の滞納をしていないことなどが条件となっています。

補助金制度の実例

東京都新宿区では「アスベスト対策助成等制度」という制度を設けています。新宿区都市計画部のホームページによると、含有調査費の全額(上限25万円/棟)、除去等工事費の2分の3相当(一戸建て:上限50万円/棟、分譲マンション:上限300万円/棟)を負担するとあります。

大阪府大阪市では「大阪市民間建造物吹き付けアスベスト除去等補助制度」を実施しており、建物自体の解体工事は行わず、今後継続して使用していくものが対象です。大阪市計画調整局のホームページによると、調査費用は全額(千円未満切り捨て、上限25万円)、除去等工事費は3分の1(一戸建て:上限20万円/棟、戸建以外:上限100万円/棟)を助成してくれます。

愛知県名古屋市では「名古屋市民間既存建造物吹き付けアスベスト対策補助事業」という制度を設けています。こちらも建物自体の解体工事は行わないことが条件です。名古屋市住宅都市局建築指導部のホームページによると、分析調査費は全額(上限15万円)、除去等工事費は2分の3(上限120万円)の助成を受けることができます。

アスベストとは

アスベストとは繊維状の鉱物で、「せきめん」「いしわた」とも呼ばれます。かつては「奇跡の鉱物」と呼ばれるほど耐熱性や耐摩擦性などに優れており、安価なこともあって、建材などで広く使われていたのです。

しかし、その繊維が極めて細くて軽いため飛散しやすく、人が吸い込むことで肺に刺さるという健康被害が指摘されるようになりました。そのため1975年から段階的にアスベストの使用が禁止され、2006年には全面的に禁止となりました。したがって、2006年以前の建物ではアスベストが含まれている可能性があるのです。

アスベスト調査の義務化

アスベスト調査の義務化

令和3年(2021年)4月1日から「大気汚染防止法の一部を改正する法律」が施行されました。それによって、解体工事を行う前にアスベスト含有調査が必須となります。

基本的に、解体業者が工事着工前に設計図書と建材に食い違いがないか目視によってチェックします。その後使用されている建材を特定して、メーカーに成分情報等を確認することでアスベスト使用の有無を確認します。

目視で判明しない場合は、成分分析が必要です。サンプリングを行い、調査結果が出たら、各自治体の労働基準監督署に調査結果を報告すること、解体工事現場に掲示すること、3年間記録を保存すること等が義務付けられます。

アスベスト調査の流れ

アスベスト調査全体の大まかな流れとして、設計図書などによる書面調査→現地で目視調査→(必要に応じてサンプルを採取)→アスベスト定性分析→報告書の作成、となります。

では、段階ごとに詳しく見ていきましょう。

1.アスベスト調査の専門家に調査依頼

事前調査は、アスベストに関する一定の知見を有し、的確な判断が出来る者が行うこととなっています。その調査者には「建築物石綿含有建材調査者」の資格を有する者だけではなく、一般社団法人日本アスベスト調査診断協会に登録された者、アスベスト作業主任者のうちアスベスト等の除去等の作業の経験を有する者なども含みます。

また令和5年(2023年)10月1日からは、アスベスト調査は厚生労働省が定める講習を修了した者などにのみ行わせることが義務付けられます。したがって、法改正に対応している業者選びが重要です。

株式会社ウラシコでは「建築物石綿含有建材調査者」が在籍しております。アスベスト調査から除去工事、除去後の特別産業廃棄物の処分までワンストップで対応可能です。ぜひ私たちにおまかせください。

2.工事着工前にアスベスト調査

まず、依頼主は工事関係者や近隣住民に対しても健康被害を及ぼす可能性があることを意識することが大切です。そのため、アスベスト調査に協力し、設計図書等の提供や費用の負担などの義務があることも忘れないようにしましょう。

アスベスト調査は現地調査として設計図書などによる書面調査と目視確認は必ず行います。必要に応じて、現場で採取したサンプルをもとに分析調査も行います。設計図書を見るだけで「アスベスト使用なし」と判断せず、必ず各部屋・各部分を目で見て確認することが重要です。

徹底的に調査が行われておらず届け出などが出されていない場合は、届け出義務者である依頼主が法定規則の罰則対象になるため、注意しましょう。

3.アスベスト調査結果の届け出

前述の通り令和3年(2021年)4月に法改正があり、以下が報告対象となります(厚生労働省および環境省の基準)

・解体部分の床面積が80平方メートル以上の解体工事

・請負金額が100万円以上の改修工事

・請負金額が税込100万円以上の特定の工作物の解体または改修工事 等

アスベスト含有の有無に関わらず、解体業者がアスベスト調査結果を都道府県等へ報告することが義務付けられています。さらに解体業者が依頼者へ工事の説明をするとともに、調査結果は作成から3年間保存することも義務付けられています。

4.解体工事期間中にはアスベスト調査結果を掲示

解体工事を行う前に、解体工事に関わるすべての資材について実施したアスベスト含有についての調査結果を工事現場の見やすい場所に掲示しなければなりません。調査結果が「アスベスト使用なし」の場合でも、掲示は必須です。この作業は依頼者ではなく、解体業者が行うこととされています。

解体工事におけるアスベスト除去工事の流れ

アスベスト除去をする上で提出が必要な届け出がいくつかあります。

①アスベスト除去に関する届け出

・特定粉じん排出等作業実施届(大気汚染防止法)

アスベストが使用されている建築物を解体・改造・補修する作業を行うときは、依頼主がこちらの届け出を管轄の自治体へ提出する必要があります。届け出期日は作業着工14日前までです。

・工事計画届(労働安全衛生法)

耐火・準耐火建築物が対象の場合、解体業者が労働基準監督署長あてにこちらを届け出ます。届け出期日はこちらも同じく作業着工14日前までです。

・建築物解体等作業届(アスベスト障害予防規則)

アスベスト含有断熱材の除去・封じ込め・囲い込みなどを行う場合には、解体業者が労働基準監督署長あてにこちらを届け出ます。こちらの届け出期日は工事開始前までです。

②アスベスト除去工事の流れ

以下が一般的な工事の流れになります。しかし、建物の状況や周辺の環境によって多少異なるのであくまで基本的な流れとしてお控えください。

近隣住民・施設へのご挨拶
引き込み配管・引き込み配線の撤去
足場の組み立て、飛散防止用シート掛け
建物内部の残留物、畳、襖、障子、住宅設備機器等の撤去
アスベスト除去

室内の天井および屋根、壁、外壁などの中にあるアスベスト含有建材の撤去を行います。アスベスト除去作業中は水や飛散防止剤を撒き、作業場所を湿潤化します。作業員も防じんマスクや防じんスーツを着用し、徹底したばく露対策を行った上で丁寧に作業します。

撤去したアスベスト含有物は丈夫な袋や容器に密閉して保管し、中身がアスベスト廃棄物であることを明示します。除去したアスベストの運搬・処分は許可を受けた産業廃棄物処理業者に委託して適切に処分することが大切です。

まとめ

ここまで、アスベスト調査の詳細や補助金の取得条件、金額などについて解説いたしました。令和4年(2022年)4月に解体工事を行う前にはアスベストの事前調査が必要になり、令和5年(2023年)10月からは資格を有する者しかアスベスト調査を行うことができません。

法令によって施行時期が異なり、さらに今後もこういった法改正が行われていくと考えられるので、注意が必要です。また、アスベスト調査費・除去工事費に対して補助金が出る場合もあります。地域によって条件や金額、申請方法が異なるので、該当する地域の情報をよく確認しておきましょう。

建物の解体をする上で、アスベストの有無は今後の作業に大きく影響します。アスベストに関して十分な知識や対策を準備してから、調査・除去工事を行いましょう。

アスベストに関する記事はこちらのカテゴリーでまとめています。令和4年度の改正法令を反映した記事を公開していますので、ぜひ合わせてご確認ください。

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