2023/06/07
ガス溶断(ガス溶接)とは?メリット・デメリット、仕組み、必要資格を原状回復業者が解説します!
みなさんは「ガス溶断」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。ガス溶断とは、解体工事などでガスを用いて金属などを切断することを言います。今回は、ガス溶断について説明していきます。
私達にご依頼いただいた場合のお問い合わせから工事完了までの一連の流れについてはこちらのページで詳しく解説しています。ぜひこちらも合わせてご参照ください。
ガス溶断とは?
そもそも溶断とは、金属素材を融点以上に加熱して切り離す技術のことで、ガス溶断とは、ガスボンベに充填されたアセチレンなどの可燃性ガスと酸素を混合し、燃焼させた炎で金属などの素材を切断する技術のことを指します。
場合によっては、「ガス切断」や「酸素切断」などと呼ばれることもあります。可燃性ガスを使用するため、ガスに引火し爆発してしまう可能性もありますので、取り扱いには十分に注意が必要です。このような理由から、ガス溶断の際には、適切な資格が必要になります。(詳細は後述)
ガス溶断では、可燃性ガスボンベ・酸素ボンベ・圧力調整器・ホース・トーチ・専用ライターなどの機器を使用しますが、ガスを使用した危険を伴う作業であるため、ヘルメットや安全帽、メガネ、防塵マスク、革手袋、溶接用保護面、革製前掛け、足カバー、安全靴などを装着して作業を行うなどの安全対策が必要になります。
ガス溶断(切断)の仕組み
ガス溶断では、炎で加熱された鋼材に、火口の中心から高速で酸素を供給することで酸化鉄に変化させ、融点が低くなった酸化鉄を酸素の噴流で吹き飛ばすことで、切断していきます。使用される亜ガスは、アセチレンが主流ですが、天然ガス、プロパンガス、水素なども使用されています。
ガス切断は、切断する鋼材の厚みによって火力や切断のスピードを調整する必要があります。また、ガス切断で使用するトーチは、火口番号1~3の3種類の火口があり、鋼材が厚ければ厚いほど火口番号が大きいものを使用します。小さい番号の火口を使って無理に厚みのある鋼材を切断しようとすると、切断面が荒れやすくなるので、注意が必要です。
ガス溶断のメリット
ガス溶断は、火力や火口の調整次第で数ミリの厚さの薄板から数百ミリの肉厚な鋼材まで切断することができます。また、ガス切断は直線だけでなく、曲線や円など比較的自由な形状に切断することができます。
また、電気を使用していないため、他の機器と比べて導入費用が安く抑えることができます。他の機器と違って使用する機器が少ないため、メンテナンス性も良くなっています。
ガス溶断のデメリット
ガス切断は炎の温度よりも融点が高い鋼材の切断はできないというデメリットもあります。ステンレスやアルミニウムなどはガス溶断できないため、プラズマ切断やレーザー切断を行う必要があります。
また、ガス切断は手作業で行うため、曲線や円などの形状のものの切断を行う場合には、かなりの技量が必要になりますし、切断面がきれいかどうか、きちんとまっすぐ切断できるかどうかなどについても作業者の技術力に依存してしまうため、それなりの経験が必要になります。
前述のように、ガス切断では炎で鋼材を酸化鉄にしながら切断していきますので、切断までに時間がかかるうえに、切断したい鋼材を温めておかないと鋼材全体が熱せられ、切断する際に熱変形してしまう可能性があります。
ガス溶断を行うために必要な資格
ガス溶断(切断)を実施するためには、「ガス溶接技能者」という資格が必要です。また、ガス切断を行う作業者の指揮や管理をするためには「ガス溶接作業主任者」という資格が必要になります。
「ガス溶接技能者」の資格があれば、ガス溶接・ガス溶断の両方を行うことができるようになります。
また、「ガス溶接作業主任者」に関しても、ガス溶接・ガス溶断を実施する作業者の指揮・管理を行うことができます。それぞれの資格について紹介します。
ガス溶接技能者
ガス溶接技能者の資格を取得するためには、職業訓練施設や建機メーカー教習所などで開催されている講習を受講しなければなりません。講習は基本的に2日間にわたって行われ、1日目は学科、2日目は実技となっています。
学科では、大きく分けてガス溶接等に使用する設備の構造や取扱方法に関する知識、ガス溶接で用いる可燃性ガスと酸素に関する知識、関係法令(法律や規則など)に関する知識の3つの講習を受けます。これらの講習を約8時間受講したのち学科試験をクリアする必要があります。
実技では、実際のガス溶接を想定した作業を行うため、機器の点検およびガスの調整方法などを5時間程かけて行います。実技では学科のような試験はありません。
ガス溶接作業主任者
ガス溶接作業主任者の資格を取得するには、各地の安全衛生技術センターで行われる試験に合格する必要があります。
特に受験資格はありませんが、試験合格後の免許を申請するのに、18歳以上かつガス溶接技能講習修了者で実務経験3年以上などを証明する書類が必要になりますので、実質的にはガス溶接技能者の資格保持者で、18歳以上の人が対象となります。
試験科目は、ガス溶接等の業務に関する知識、関係法令、アセチレン溶接装置及びガス集合溶接装置に関する知識、アセチレンその他可燃性ガス・カーバイド及び酸素に関する知識などがあります。場合によっては一部試験が免除されることがありますので、安全衛生技術試験協会公式サイトを確認してみてください。
まとめ
今回は、ガス溶断(切断)について説明してきました。解体工事などで機械で切断できない場合などにガスを使用して切断することになりますが、実際の作業にはかなりの危険が伴いますので、きちんと換気を行ったり、適切な機材を使用したりするなどの対策をしっかりと行ってください。
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