2026/07/27
建物のCO₂排出量が重視される時代へ!解体業界に求められる「資源循環」とは

最近、ニュースなどで「SDGs」や「脱炭素」が取り上げられることが多くなりました。家を建てたり壊したりする建設業や解体業界でも、地球環境に配慮した取り組みが強く求められる時代になりました。
「建物の解体とエコってどう結びつくの?」「ただ壊して捨てるだけじゃないの?」と疑問に思う方も多いでしょう。ここでは、解体業界に押し寄せる環境問題への波と、未来に向けた資源リサイクルの重要性について分かりやすく解説します。
解体業界に求められる「資源循環」

●建設業が直面する「脱炭素」の波と環境への責任
私たちが普段生活している住宅や、働いているオフィスビルなどの建物は、その生涯において非常に多くの二酸化炭素(CO₂)を排出しています。エアコンや照明を使う時のエネルギー消費については広く知られていますが、実は建物を「建てる時」や「解体する時」にも膨大なエネルギーが使われ、多量のCO₂が発生しています。
近年、あらゆる産業で「脱炭素(地球温暖化の原因となる温室効果ガスの排出を全体としてゼロにすること)」が声高に叫ばれています。建設業界も例外ではなく、国を挙げて環境負荷を減らすための法整備が進められています。
特に解体工事は、大型の重機を動かすための軽油燃料の消費に加え、発生した大量の廃材を運搬・処理する過程でもCO₂を排出するため、業界全体で抜本的な見直しが図られているのです。
これまでのように「ただ早く、安く建物を壊して処分すればいい」という考え方は通用しなくなり、いかに環境への負担を最小限に抑えながら安全に解体するかが、これからの時代のスタンダードになっています。
「壊す」から「資源を循環させる」産業へ
建物を解体した際に出るコンクリートの破片、木材、ガラス、金属などのゴミは、「建設廃棄物」と呼ばれます。昔の解体現場では、これらをひとまとめにして埋め立て処分(ミンチ解体)することが珍しくありませんでした。
しかし、現在では建設リサイクル法などの法律によって厳しく規制され、現場で素材ごとに丁寧に分別し、可能な限り「リサイクル(再資源化)」することが義務付けられています。これが、今回のテーマでもある「資源循環」です。資源循環とは、廃棄物をゴミとして捨てるのではなく、再び資源として経済活動の中に組み込んでいく仕組みのことです。例えば、廃材は以下のように生まれ変わります。

| 解体現場で発生する建設廃棄物 | リサイクル後の姿 |
| 解体現場で発生したコンクリートの塊 | 新しい道路の基礎材(路盤材) |
| 木造住宅から出た古い柱や梁などの木材 | ・新しい木質ボードの原料・バイオマス発電の燃料 |
| 鉄筋やアルミサッシなどの金属類 | 新しい金属製品 |
建設業界におけるリサイクルの現状
国土交通省の「建設副産物実態調査」などで排出量の上位を占める主要な廃棄物のうち、代表的な5つのリサイクル状況を説明していきます。
・コンクリート塊
建物の基礎や壁、橋などのコンクリート構造物を解体した際に発生する破片や塊が該当し、再資源化率は約99.5%と極めて高い水準に達しています。細かく砕かれ、ほぼ完全に新しい道路の基礎材(路盤材)などとして再利用される基盤が整っています。
・アスファルト・コンクリート塊
主に道路の舗装工事や、駐車場などのアスファルトを剥がした際に発生する廃棄物のことで、コンクリート塊と同様に再資源化の仕組みが確立されており、細かく砕かれた後に再び新しいアスファルト舗装の材料(再生合材)として、高い割合でリサイクルされています。
・建設発生木材
木造住宅の解体工事や、新築工事の際に出る端材などから発生する木くずのことで、再資源化・縮減率は約97%と高い水準を維持しています。細かくチップ状に粉砕され、新しい木質ボードの原料として再利用されるほか、バイオマス発電(動植物から生まれた生物資源を燃やして電気を作る仕組み)の燃料としても有効活用されています。
・建設混合廃棄物
上記のコンクリート、木材、さらにプラスチックやガラス、金属などの複数の廃材が混ざり合った状態のゴミが該当し、素材ごとの細かな分別が難しいため、再資源化・縮減率は約71%にとどまっています。このリサイクル率を向上させるため、解体現場で重機に頼りきらず、手作業による「分別解体」をいかに徹底できるかが、現在の解体業界の大きな課題となっています。
SDGsの達成に向けた解体業界の挑戦
現代において、企業が社会的な責任を果たしているかどうかが、サービスを選ぶ際の重要な基準になりつつあります。その指標となるのが「SDGs(国連が定めた、2030年までに世界が達成すべき17の持続可能な開発目標)」です。
解体業界の資源循環への取り組みは、このSDGsの目標と密接にリンクしています。例えば、目標12の「つくる責任つかう責任」や、目標13の「気候変動に具体的な対策を」については、まさに取り組むべき内容です。
廃棄物を減らしてリサイクル率を向上させることは、限りある地球の資源の枯渇を防ぐだけでなく、新たな資源を採掘・加工する際に発生するCO₂の削減にも大きく貢献します。
その他にも、最新の低排出ガス基準をクリアした重機やトラックを導入することで、工事中のCO₂排出量や大気汚染物質の削減にも努めるだけでなく、複雑化する環境法令を厳格に遵守し、マニフェストの適正な運用をはじめとするコンプライアンス(法令遵守)体制を整えることも重要になってきます。また、解体現場での騒音や振動、粉塵を抑え、周辺住民の健康と安全を守ることは、目標11の「住み続けられるまちづくりを」にも繋がります。
地球に優しい解体業者の見極め方

では、実際に空き家の処分や建て替えなどで解体工事を依頼する際、どのような基準で業者を選べばよいのでしょうか。費用が安いことはもちろん魅力的ですが、見積もりの安さだけで選んでしまうと、解体工事で出た建設廃棄物の不法投棄などの犯罪行為に手を染める悪質な業者に当たってしまうリスクがあります。
もし業者が不法投棄をした場合、工事を依頼した施主までもが法的な責任を問われる可能性があるため、業者選びは慎重に行う必要があります。環境に配慮した適正な業者を見極めるポイントは以下の通りです。
・都道府県知事から「解体工事業の登録」や「産業廃棄物収集運搬業の許可」を正しく受けているかどうか
・現場での分別解体(素材ごとに手作業などを交えて丁寧に分けて壊すこと)を徹底しているか
・廃棄物がどの処理施設に運ばれ、どのようにリサイクルされたかを追跡・証明する「マニフェスト(産業廃棄物管理票)」をしっかりと発行し、控えを渡してくれるかどうか
・相談、見積もりの段階で、これらの法令遵守や環境対策について丁寧に説明してくれる担当者かどうか
まとめ

建物の解体は終わりではなく、新たな資源を未来へ繋ぐスタートです。地球環境を守るためには、解体業者をはじめとする企業のみが努力すればよいというわけではありません。
解体工事を発注する施主一人ひとりが、環境問題に関心を持ち、適正な処理を行っている優良な業者を選ぶ「賢い消費者」になることが、社会全体を環境配慮型へと変えていく大きな原動力となります。
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