2021/06/14
テナント契約時に支払う敷金ってそもそも何?原状回復費用を安くして敷金を多めに返還してもらいましょう
オフィスや店舗を契約するとき、当たり前のように払っている敷金。この敷金は何のために払っているのか、詳しい詳細を知らない方も多いのではないでしょうか?「敷金は退去時に戻ってくるお金」と理解している方は要注意。
オフィスや店舗契約の際、敷金が戻ってくる金額は少ないどころか、場合によっては戻ってこないこともあります。それは退去時の原状回復が大きく関係していることが原因です。少しでも多くの金額を戻してもらうために、いくつかポイントを挙げていますのでぜひ参考にしてください。
目次
オフィスや店舗契約時に不可欠な敷金の概要
住居を賃貸契約するとき「敷金・礼金ゼロ」という表示を多く見かけるようになりましたが、オフィスや店舗契約ではそのような物件はほとんどありません。そのためオフィスや店舗契約するときには必ず準備しておかなければいけないのが敷金です。なぜ敷金が不可欠なのか、詳しく見ていきましょう。
敷金とは
敷金とは、債務保証担保のことを指します。具体的には、オフィスや店舗を借りるオーナーに対して、家賃の遅延や修繕費を保障するために払うものです。
家賃の遅延や借主側の過失による損傷がなければ、敷金は契約後に返金してもらえます。また退去時に必須な原状回復工事のコストも、敷金の中から支払われます。
オフィスや店舗契約時の敷金の相場
オフィスや店舗を契約するときの敷金の相場は、住居と違い高額です。通常は家賃の6~12ヵ月分が相場といわれています。以下を想定しておけばよいでしょう。
10~40坪 | 3~6ヵ月分 |
50~100坪 | 6~12ヵ月分 |
オフィスや店舗の敷金が高い理由は、住居よりも原状回復費が高くつくことが原因です。原状回復で必要な工事が多いため、オーナーの負荷も大きいのです。
オフィスや店舗契約時の敷金が戻ってくるタイミング
家賃の遅延や修繕費、原状回復費を差し引いても敷金が残っていれば、借主側に返金されます。返金されるタイミングは物件の契約が終了した後ですが、すぐという訳ではありません。詳しい返金時期については賃貸借契約書に書かれているため、契約時に必ず目を通しておいてください。
一般的に返金されるタイミングは、3~6ヵ月後といわれています。そのため、移転のために新しい物件に返金された敷金はあてられません。冒頭でも少し触れましたが、オフィスや店舗の敷金が全額戻るということは基本的に不可能です。この敷金からは以下のものが引かれます。
- 家賃の遅延(遅延があったとき)
- 過失による修繕費
- 原状回復費
- 償却償却とはオフィスや店舗契約時に無条件についていくる支出のことで、契約終了時に必ず差し引かれるものです。
償却の相場は家賃の1~2ヵ月分といわれていますので、頭の片隅に入れておいてください。
原状回復を安くして敷金の戻りを多くするポイント
敷金はさまざまなコストが引かれ、残ったものが借主側に返金されます。ここで唯一削減できるのが原状回復費です。原状回復はトラブルも多いため、未然に防ぐ意味でも以下のポイントに注目してコストを削減してみましょう。
原状回復の基本を知っておく
原状回復とは、入居時の状態に戻すことです。壁や床など入居時から変えたときは元に戻さなければいけません。什器や設備を投入した際も同様です。
オフィスや店舗の原状回復は住居とは違い金額も高いため、契約時に払った敷金で補うのが通常です。ただし、借主側が支払う原状回復の範囲は、間借りした箇所だけです。
基本的にビルや商業施設に入っているときは、共有部分のエレベーターやトイレなどは含まれません。
物件を退去する際は正しいスケジュールを立てることが大切です。こちらの記事では直前に慌てることの多いオフィス退去のスケジュールについて詳しく解説しています。ぜひ合わせてご参考ください。
賃貸借契約書に書かれている詳細を把握する
住居の原状回復はガイドラインに従って行われますが、オフィスや店舗の場合はガイドラインが適用されないため、賃貸借契約書の記載の内容に準拠します。例えば原状回復する業者について。多くの場合、オーナー側の指定する業者が工事を行います。
またどこまでが原状回復の範囲かも細かく書かれているため、契約時に賃貸借契約書に書かれている詳細をしっかり確認しましょう。疑問点があれば、契約時にオーナーに問い合わせるのがいちばんです。
入居時と原状回復工事の見積もりは必ず立ち会う
オフィスや店舗契約時は、物件の立ち会いをする方も多いと思います。立ち会いは間取りや配置などに目が行きがちですが、破損している箇所がないかも合わせてチェックしてください。
万が一破損している部分があれば、写真に撮っておくのがおすすめです。入居時の立ち会いはオーナーや不動産と一緒に回ると思いますので、合わせて書面に残しておくと原状回復費に請求されません。
また原状回復の見積もりでオーナーから指定された業者の場合、建物の構造をよく把握している関係上、見積もりがあいまいになるケースがあります。
中には現場を確認せず見積もりを提出する業者もいるほどです。範囲外に請求をされないためにも、見積もりは必ず立ち会いましょう。
見積項目は細かくチェックする
見積書の項目が細かく書かれているかも大きなポイントです。原状回復費は素人にはわかりにくく、請求されたまま払ってしまいがち。
とくに気をつけたいのが以下のものです。
- 〇〇工事一式
- 共有部分の請求
- 経年劣化による請求
「〇〇工事一式」と書かれている際、何にどのくらいのコストがかかっているのかわかりません。人件費や材料費の上乗せも考えられますので、細かい明細を提出してもらいましょう。
また共有部分の請求は、本来払うものではありません。オーナー側が負担する経費ですので、請求されているときは見積もりから削除を依頼してください。同じく経年劣化による消耗も、借主側が払うべきものではありません。ただし、賃貸借契約書に書かれている際はそちらに従います。
また経年劣化に関しておくことによって消耗の相場も予想しやすくなりますので、こちらの記事を合わせてご参照ください。
まとめ
オフィスや店舗契約の際、敷金が全額戻ってくることは、基本的にありません。しかし、原状回復費を抑えれば返金される額も大きくなるため、原状回復費用の確認と交渉は大切なことです。
まずは賃貸借契約書を把握し納得できる内容であること、見積もりが正当に行われているか判断することが大切です。本来請求されるべきでなはいものが見積もりに入っていたら、迷わず問い合わせてみましょう。
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