2021/12/05
【居抜き?スケルトン?】原状回復工事の種類まとめ|各工事の概要をわかりやすく解説します。
「賃貸借契約書に原状回復についての記載があるけど内容が理解できていない」
「原状回復工事の種類や工事区分を詳しく知りたい」
このように、テナントを退去する際に必要となる原状回復工事の種類と工事区分について、理解を深めたいと考えているお店やオフィスのオーナーの方は多いのではないでしょうか。
この記事では、原状回復工事の種類と工事区分の概要から、注意点までを詳しく解説していきます。原状回復工事の有無は賃貸借契約書に記載され、ほとんどのテナントの借主は、退去時に原状回復を施さなければなりません。
しかし、原状回復工事の種類や工事区分を知らないと、多額の費用がかかったり貸主とトラブルになる可能性が。不必要な出費や貸主とのトラブルを防ぐためにも、要点をしっかり抑えておきましょう。
オフィスの原状回復は特に行程が多い作業です。オフィスの原状回復で必要な工事、手続き、行政処理はこちらの記事でまとめていますので、ぜひ合わせてご参考ください。
目次
なぜ原状回復工事の種類・工事区分を知るべきなのか
原状回復工事の種類と工事区分を知るべき理由は1つ。不必要な出費を防ぐためです。テナントの借主の多くは、原状回復工事の種類や工事区分を理解せず契約を結んでしまい、退去時に多額の出費がかさみ後悔してしまうことがあります。
ですが、工事の種類と工事区分を知っていると契約時に交渉や質問ができ、原状回復工事の費用を抑えられたり、間違った工事をおこなわずに済むでしょう。原状回復で不必要な出費を防ぐためには、原状回復工事の種類と工事区分を理解することが最善策です。
原状回復工事の種類
原状回復工事の種類は主に2つ。「内装解体工事」と「スケルトン工事」です。2つの違いを理解することで、どこまでの原状回復が求められているかがわかるようになります。しっかりと押さえておきましょう。
内装解体工事
テナントの内装部分の解体と撤去をおこなうのが、内装解体工事です。天井や壁など建物の構造に関わる部分以外の内装を解体することを指します。後付けした仕切りだけを撤去するのも内装解体工事になります。
オフィスの内装解体工事は退去時はもちろんのこと、フロアを広く取りたい際におこなう場合も多いです。飲食店では、厨房やカウンターなどを解体して撤去する内装解体工事が頻繁にあります。
スケルトン工事
スケルトン工事は、内装解体工事の一種であり、建物の構造体以外の内装全てを解体・撤去し、骨組みだけの状態にする工事を指します。造られている素材にもよりますが、コンクリートだけのなにもない状態の物件をイメージするとわかりやすいでしょう。
スケルトン工事は、仕切りや天井の下地、壁の下地、床に加えて電気などの配線や水道配管、排気設備、エアコンなど設備関連も全て解体・撤去します。原状回復工事の中でも一番費用のかかる工事と考えておいてください。
原状回復につきましてはこちらの記事で詳しく解説しています。ぜひこちらも合わせてご参照ください。
原状回復工事の後におこなわなければならないこと
原状回復工事の後に「産業廃棄物の処理」と「テナントの清掃」を必ずおこなう必要があります。「廃棄物の処理」と「テナントの清掃」は、原状回復工事のセット作業と覚えておくといいでしょう。
産業廃棄物の処理
廃棄物処理法で記されている20種類の廃棄物は、適切な処理をしなければなりません。適切な処理をせず不法投棄をしてしまうと、罰せられてしまいます。
原状回復工事は産業廃棄物が出る可能性があり、書類の提出などが求められるため、専門業者に任せるのが最適でしょう。内装解体工事に加えて廃棄物処理も代行している業者もあります。
一括で済ませたい場合は、廃棄物処理も代行している業者を選ぶといいでしょう。
テナントの清掃
原状回復工事が終わると、ゴミやほこりが残っている場合があります。掃除機やほうきなどを用いて、キレイにする必要があります。原状回復工事の業者がおこなってくれる場合もあるでしょう。
掃除を業者がするか自分自身でするかは、事前の契約で確認する必要があります。掃除の有無や料金などを含めて、契約の際にしっかりと確認しておきましょう。
原状回復の工事区分
原状回復の工事区分は以下の3つです。
- A工事
- B工事
- C工事
上記3つは、原状回復の不必要な費用とトラブルを防ぐことに関わるので、必ず押さえておきましょう。
A工事
A工事は、一般的にビルやマンション、アパートなどの共用部分(通路やエレベーターなど)やガス・排水のメーターなどの工事をさします。入居者には、あまり関わりのない工事です。
物件のオーナーが業者を選び、費用もオーナーが支払います。しかし、共用部分を破壊したり、傷をつけたりした場合は、退去時に原状回復にかかった費用を支払う必要があるので注意しましょう。
B工事
基本的に、建物自体に工事が関わる場合は、B工事の区分になることが多いでしょう。B工事は、物件のオーナーが業者を選び、費用は借主が支払います。
物件のオーナーが業者を選定する理由は、物件の構造を熟知している業者に依頼するのが適切なためです。そのため、原状回復の内装解体工事やスケルトン工事は、B工事になる可能性が高くなります。
C工事
C工事は、業者の依頼と費用の支払い両方を借主がおこないます。B工事に次いで原状回復の工事で多い区分です。オーナーを通さないため、費用や工期を交渉して決めることができます。
オーナーを通す必要はありませんが、事前に確認だけはしておきましょう。
原状回復の工事種類と区分の注意点
原状回復の工事と区分の注意点は主に2つ。「居抜き物件の原状回復」と「B工事での原状回復」です。2つの注意点を理解しておかないと、原状回復の工事費用がかさんでしまう可能性が高くなります。必ず押さえておきましょう。
居抜き物件の原状回復
テナントを借りた時点では居抜き物件でも、退去時はスケルトン状態に原状回復をする場合もあります。退去時は、借りた時点と同じ原状回復で返せばいいと思い込まないようにしてください。
契約の際に交わす賃貸借契約書に目を通し、退去時の原状回復は、どこまでするのかを物件のオーナーと明確に決めておくことが重要です。
B工事での原状回復
B工事で原状回復をする場合、原状回復工事の費用が高くなってしまう可能性があります。オーナーは費用を支払わないため、繋がりのある業者の言い値で依頼をするためです。
一般的な費用の2倍、3倍になることも考えられるでしょう。費用を抑えるには、オーナーと費用の交渉をするか、自分自身で業者を選定できるC工事に変える交渉をするのが最適です。
まとめ
この記事では、原状回復工事の種類と工事区分の概要から注意点までを詳しく解説してきました。この記事の重要ポイントは以下です。
- 原状回復工事の種類・工事区分を知っておくと不必要な出費を防ぐことができる
- 内装解体工事は、建物の構造に関わる部分以外を解体して撤去する
- スケルトン工事は、建物の構造体以外の全てを撤去し骨組みだけの状態にする
- 原状回復工事で出た産業廃棄物は適切な処理をしなければならないため専門業者に依頼する
- 原状回復工事後の掃除は業者がするのか自分自身でするのかを決めておく
- B工事がテナントの原状回復の際に多い区分の工事
- C工事は借主が業者を選定できるため原状回復の際に費用を安く抑えられ工期がスムーズになる
- 居抜き物件を借りる際は、退去時にどのような原状回復が必要かを事前に確認しておく
- B工事での原状回復の際はオーナーと事前に費用の交渉をするかC工事に変える交渉をする
原状回復工事の種類と工事区分を知っているのと知らないのとでは、費用面で天と地ほどの差があるでしょう。原状回復工事の費用を抑え、物件のオーナーとトラブルを防ぐためにも、上記のポイントを参考にして契約をおこなってください。
また、優良な解体業者に見分け方に関しましては、こちらの記事一覧ページにてまとめております。こちらも合わせてご参照ください。
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