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特別管理産業廃棄物とは?解体工事業者がわかりやすく解説します。

特別管理産業廃棄物

みなさんは、廃棄物(ゴミ)の中にも種類があるのをご存じでしょうか。

私たちが生活の中で排出するごみは一般廃棄物と呼ばれ、事業活動で生じる廃棄物の中で、廃棄物処理法で規定された20種類の廃棄物については産業廃棄物と呼ばれています。

今回は産業廃棄物の中でも危険性の高い「特別管理産業廃棄物」について説明していきます。

産業廃棄物に関してはこちらの記事で詳しくまとめています。こちらも合わせてご参照ください。

【5分でわかる】産業廃棄物とは?建物の撤去や清掃で出るゴミの種類をわかりやすく解説します。

また、動画でも詳しく解説しています。ぜひこちらも合わせてご参照ください。

特別管理産業廃棄物

特別管理産業廃棄物

特別管理産業廃棄物の概要

特別管理産業廃棄物とは「爆発性、毒性、感染性その他の人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがある性状を有する廃棄物」であると廃棄物処理法で定義されています。

要するに、人々の生活に危険を及ぼす可能性があるものが指定されています。何が特別管理産業廃棄物に該当するかどうかについても法律で定められており、以下に示すものが特別管理産業廃棄物となります。

特別管理産業廃棄物の中でも、「排水銀等」以降は「特定有害産業廃棄物」という扱いになります。

廃油※ 廃酸 廃アルカリ 感染性産業廃棄物
廃水銀等 特定有害産業廃棄物 廃PCB等 PCB汚染物
PCB処理物 指定下水汚泥 鉱さい 廃石綿等
ばいじん・燃え殻 汚泥、廃酸・廃アルカリ 廃油※

※廃油、廃酸、廃アルカリ、に関しては、成分によって特定有害産業廃棄物になるため2つ記載があります。

※PCB:ポリ塩化ビフェニルの略称。人工的に作られた油状の化学物質のことで、かつては絶縁油として利用されていましたが、現在は製造・輸入ともに禁止されています。

特別管理産業廃棄物の特徴

ここからは、特別管理産業廃棄物がどのようなものなのかを紹介していきます。

廃油 揮発油類、灯油類、軽油類が産業廃棄物の廃油になったもの
廃酸 pH2.0以下の廃酸
廃アルカリ pH12.5以上の廃アルカリ
感染性産業廃棄物 医療機関などから排出される産業廃棄物のうち、人に感染する恐れのある病原体が含まれるもしくは付着している恐れのあるもの
廃水銀等 ・指定施設から排出された廃水銀

・水銀やその化合物が含まれている産業廃棄物、産業廃棄物となった水銀使用製品から回収した廃水銀

廃PCB等 廃PCB及びPCBを含む廃油
PCB汚染物 ・PCBが染み込んだ汚泥、紙屑、木くず、繊維くずなど

・PCBが付着したプラスチック類、がれき類、金属くずなど

PCB処理物 廃PCB等やPCB汚染物を処分するために処理したPCBを含むもの
指定下水汚泥 下水道法施行令で指定されている汚泥
鉱さい 重金属等を基準濃度を超えて含むもの※
廃石綿等 石綿を含むまたは付着している産業廃棄物のうち、石綿が飛散する恐れのあるもの
ばいじん・燃え殻 重金属等やダイオキシン類などを基準濃度を超えて含むもの※
廃油(特定有害産業廃棄物) 有機塩素化合物などを含むもの※
汚泥、廃酸・廃アルカリ 重金属等やPCB、有機塩素化合物等、農薬等を基準濃度を超えて含むもの※

※廃棄物処理法施行規則や判定基準省令で成分・濃度の基準が定められている

事業者の責任

事業者が特別管理産業廃棄物を排出する場合、収集運搬する場合、処分する場合、処分を依頼する場合それぞれに守るべき基準が設定されています。どのような基準が設定されているのか説明します。

特別管理産業廃棄物を排出する場合

排出する事業場ごとに特別管理産業廃棄物管理責任者(以下、責任者)の設置が義務付けられています。責任者には排出状況の把握、処理計画の立案、処理方法の確保という3つの役割があります。

排出状況を逐一確認し、その排出量に合わせた処理計画を立て、適切な委託業者を選任して処理を依頼したり、マニフェストを発行したりすることで、人体や環境への影響を抑える必要があります。

責任者になるには、指定された資格や知識を有し、一定以上の実務経験が必要です。

特別管理産業廃棄物を保管する場合

廃棄物処理法の省令第8条の13で、保管場所の要件や廃棄物の飛散・流出防止策など特別管理産業廃棄物の保管基準が定められています。

内容としては、周囲に囲いがあること、ねずみや害虫が発生しないようにすること、他のものの混入防止をすることなどがあります。

特別管理産業廃棄物を収集運搬する場合

廃棄物処理法の施行令第6条の5第1項第1号で、廃棄物の運搬方法や積替保管に関することなどが規定されています。

内容としては、他の廃棄物と区別して収集・運搬すること、収集・運搬時に特別管理産業廃棄物が飛散・流出しないようにすること、運搬時は廃棄物の種類等を記した文書を携帯することなどの基準があります。

特別管理産業廃棄物を処分・リサイクルする場合

廃棄物処理法の施行令第6条の5第1項第2号で、廃棄物の処分・リサイクルの方法、保管する量の上限や保管期間などが規定されています。

内容としては、処分・リサイクル時には廃棄物の飛散や流出を防止すること、焼却は構造基準に合致した焼却設備で行うこと、埋立の場合には周囲に囲いがある場所で行うこと、環境省令で定める期間を超えて保管してはならないこと、保管量は1日の処理能力の14倍までにすること、などがあります。

特別管理産業廃棄物を処分を依頼する場合

廃棄物処理法の施行令第6条の6で、許可を受けた業者に委託(依頼)すること、事前に廃棄物の種類や量などを文書で通知すること、最終処分が完了するまで必要な措置を講じることなどが規定されています。

処分を委託した後でも処分完了までは責任がついて回ることに注意です。

おわりに

今回は、特別管理産業廃棄物について説明していきました。人体に影響があるため、国がその収集・運搬や処分の方法を定めているものですので、取り扱いを間違うと大きな事故や事件に発展する恐れがあります。

処分に費用はかかりますが、きちんとした方法で処分しなければなりません。

産業廃棄物とマニフェストの関係は、こちらの記事でより詳しく解説しています。解体工事を依頼される際は、必ず理解しておきましょう。

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