2025/12/25
店舗移転は何から始める?必要な手続きとスケジュールを実務経験に基づき徹底解説

店舗移転を考え始めたとき、「何から手をつければいいのかわからない」と悩んでいませんか。
ウラシコは、これまで数多くの店舗の閉店・移転・原状回復工事に関わってきました。その中でよく感じるのが、「もっと早い段階で原状回復の相談をしていれば、費用もスケジュールも楽だったのに」というケースが非常に多いということです。
店舗移転をスムーズに進めるためには、「新店舗のこと」だけでなく、「今の店舗をどう終わらせるか」を早めに整理することが重要です。
今回は、初めて店舗移転をする方でもイメージしやすいように、一般的な店舗移転の流れや必要な手続き、スケジュールの考え方を分かりやすく解説します。
店舗移転は何から始めるべきか【ウラシコ推奨】
最初にやるべきは「現店舗の契約内容確認」

店舗移転を考え始めたとき、多くの方が「次はどんな物件にしようか」「立地を変えたい」と新店舗探しから動き出しがちです。
しかし、ウラシコの立場からはっきり言えるのは、最初にやるべきことは現店舗の賃貸借契約書の確認です。
ここを後回しにすると、
- 移転スケジュールが崩れる
- 原状回復費用が想定以上に膨らむ
- 家賃の二重払いが発生する
といったトラブルにつながりやすくなります。「出ていく条件」を知らないまま、「次に入る条件」だけ考える、これが店舗移転で失敗しやすい典型例です。
必ず確認すべき契約書のポイント

解約予告期間(3ヶ月前・6ヶ月前など)
まず確認すべきなのが、解約の予告期間です。
- 3ヶ月前通知
- 6ヶ月前通知
- 書面通知が必須
など、物件ごとに条件は異なります。この期限を過ぎてしまうと、実際には使っていない期間の家賃を払い続けることになります。新店舗の契約時期や工事スケジュールは、この解約予告期間を基準に逆算して考える必要があります。
原状回復の範囲(スケルトン返しの有無)
次に重要なのが、原状回復の範囲です。
- スケルトン返しが必須なのか
- 内装一部残しが可能なのか
- どこまで撤去対象になるのか
この違いだけで、原状回復費用は数十万円〜数百万円単位で変わります。スケルトン返し前提の物件にも関わらず、内装をそのまま使える前提で新店舗計画を立ててしまうと、資金計画が一気に崩れてしまいます。
造作物の扱い
意外と見落とされやすいのが、造作物の扱いです。
- エアコン
- 厨房機器
- カウンター・造作壁
- 給排水・電気設備
これらが
- 借主の所有物なのか
- 貸主の所有物なのか
- 撤去義務があるのか
によって、工事内容も費用も大きく変わります。ウラシコでは、「撤去しなくていいと思っていた設備が、実は撤去必須だった」というご相談を非常によく受けます。
次にやるべきは「移転理由と条件の整理」

現店舗の条件を把握したら、次に行うべきは 移転理由と条件の整理 です。ここが曖昧だと、物件選びも工事内容もブレてしまいます。ここが曖昧で移転が失敗する例を何度も見てきました。
なぜ移転するのかを徹底的に明確にする
まずは、移転理由を言語化します。
- 売上拡大のため
- 家賃を抑えたい
- 立地を変えたい
- 設備が老朽化している
理由によって、選ぶべき物件も、内装にかける予算も変わります。
立地・広さ・賃料の優先順位
すべてを満たす理想の物件は、なかなか見つかりません。
- 立地を最優先するのか
- 広さを重視するのか
- 家賃を抑えたいのか
何を優先し、何を妥協できるのかを整理しておくことで、物件選びがスムーズになります。
現店舗の設備を流用できるか
移転時に大きな差が出るのが、設備の流用可否です。
- 厨房機器を持っていけるか
- エアコンは再利用できるか
- 看板や什器を使い回せるか
これらが流用できれば、新店舗の初期費用を大きく抑えられます。ただし、現店舗の原状回復条件とセットで考えないと、「流用するつもりだった設備が撤去義務だった」という矛盾が生じますので注意。
ウラシコの考える店舗移転成功の考え方

店舗移転は、新店舗探しよりも先に「今の店舗をどう終わらせるか」を整理することが成功のカギです。ウラシコでは、契約内容、原状回復範囲、工事スケジュールを踏まえたうえで、無理のない店舗移転計画をご提案しています。
さらに店舗デザイン・設計部門が社内にありますので、移転先の店舗デザインや内装施工までワンセットで対応可能です。「何から始めればいいか分からない」という段階でも問題ありません。まずは私たちにお気軽にお問い合わせください。
店舗移転の流れ
ウラシコの経験をもとに、店舗移転の基本的な流れを順番に解説していきます。
店舗移転は、思いつきで進めてしまうと解約や契約のタイミングを間違えると、家賃が二重に発生したり、営業できない期間が長引いたりすることもあります。そのため、全体の流れを先に把握し、今どの段階にいるのかを意識しながら進めることが重要です。
ウラシコの考える一般的な流れは以下のとおりです。
- 現店舗の契約内容確認
- 移転条件の整理
- 新店舗探し
- 解約通知の提出
- 新店舗の契約
- 旧店舗の原状回復工事
- 新店舗の内装工事
- 各種手続き・届出
- 移転オープン
また、店舗移転は何ヶ月前から準備すべきか、というスケジュールですが、ウラシコの現場経験では、最低でも6ヶ月前から動くのが理想です。飲食店やスケルトン物件の場合は、8〜12ヶ月前からの準備でちょうど良いケースもあります。
①現店舗の契約内容確認

先程解説した通り、最初に行うべき工程です。解約予告期間、原状回復の範囲、造作物・設備の扱い…ここを把握せずに進めると、後からスケジュールも費用も修正がきかなくなります。ウラシコでは、この段階で原状回復の概算を把握することを強くおすすめしています。
②移転条件の整理

こちらも前述の通りつぎに、物件を探し始める前に移転理由を明確にしましょう。
立地なのか、家賃なのか、店舗が手狭になったのかによって、探す物件の条件は大きく変わります。目的が曖昧なまま物件探しを始めると、移転後に後悔する可能性が高くなります。
物件の目星がついたら、次に行うのがスケジュール調整です。店舗移転では、今の店舗を閉める準備と、新しい店舗を整える準備を同時に進める必要があります。内装工事や設備工事には想像以上に時間がかかることも多く、余裕のない計画はトラブルの原因になります。
閉店日と新店舗のオープン日を決め、その間にどの作業を入れるのかを整理していくことが大切です。
③新店舗探し

条件が整理できたら、新店舗探しに入ります。立地などはもちろんですが、それと同じくらい重要なことが、入居条件になります。
- 居抜きかスケルトンか
- 業態変更の有無
- 既存設備の状態
物件は「良さそう」に見えても、原状回復条件や工事制限を確認しないと失敗しやすいポイントです。入念にチェックしておきましょう。
④解約通知の提出

新店舗の目処が立った段階で、現店舗の解約通知を提出します。多くの賃貸店舗では、解約予告期間が3ヶ月から6ヶ月前と定められています。そのため、移転の可能性が見えた段階で、賃貸借契約書を確認し、貸主や管理会社へ早めに連絡を入れることが重要です。
⑤新店舗の契約

物件条件・工事内容・スケジュールを確認したうえで契約します。この時点で、内装工事の大枠スケジュールも固めておくことをおすすめします。内装工事のスケジュールがずれ込むとオープンがずれ込み、空家賃などの損失がどんどん重なってしまいます。
新店舗の契約が完了したら、早めに店舗移転と移転先のお知らせを伝えましょう。移転時期や新店舗の場所を、できるだけ早めに知らせることで、移転後もスムーズに来店してもらいやすくなります。常連様には特に重要!
また、仕入れ先や取引先にも移転の連絡が必要です。住所変更が遅れると、請求書や納品に影響が出る可能性があります。店舗移転は営業だけでなく、事務面にも関わる作業だと意識しておきましょう。
⑥現店舗閉店と原状回復工事

現店舗の閉店準備を進めます。店内の片付けや不要な備品の処分、在庫の整理など、地味ですが重要な作業です。閉店日が近づくと慌ただしくなりがちですが、計画的に進めること。
現店舗の閉店が完了したら、原状回復工事開始です。工事期間は内容によって異なりますが、一般的には1週間から数週間程度かかります。工事中は、貸主や管理会社から連絡が入ることもあるため、連絡が取れる状態を保っておきましょう。
また、工事完了後のチェックに備えて、写真などで作業状況を残しておくと、トラブルの予防になります。
⑦新店舗の内装工事

新店舗の内装工事は、店舗移転の中でも最も神経を使う工程です。このタイミングで旧店舗の原状回復工事と新店舗の内装工事が同時進行となり、時間的にも資金的にも負担が一気に集中します。
旧店舗から設備を流用する場合は、原状回復工事での撤去タイミングと新店舗での再設置が密接に関係するため、段取りを誤ると新店舗側の工事が止まってしまうこともあります。
各工事業者と連携してスムーズに進めましょう。ウラシコは、自社内に原状回復専門部隊と内装施工部隊を有していますで、ワンストップでご依頼可能です。
⑧各種手続き・届出

旧店舗の原状回復工事と新店舗の工事が完了したら、営業許可や防火許可などの各種手続きや届出です。また、電気・ガス・水道といったライフラインの手続きも、地味ですが重要です。
特にガスの開栓や電気容量の変更は立ち会いが必要になることが多く、直前では対応できないケースもあります。各種工事が完了したら即!対応しましょう。
⑨移転オープン

すべての準備が整ったら、新店舗のオープンです。店舗移転はゴールではなく、新しいスタートでもあります。移転後しばらくは、想定外の問題が起きることもありますが、落ち着いて一つずつ対応していきましょう。
オープンしてから設備などで不具合が見つかることもあります。そういった不具合にも快く、即対応してくれる内装工事業者を選ぶと安心です。ウラシコにぜひお任せください。
店舗移転に必要な手続き

先程説明いたしましたが、店舗移転では、店舗の片付けや準備だけでなく、行政への手続きも必要不可欠です。ここでは、閉店時と開店時に必要な手続きをわかりやすくまとめました。
閉店時に必要な手続き
店舗を閉める際には、次のような書類の提出が必要です。
| 管轄 | 手続き・提出書類 |
| 税務署 | ・個人事業の開業・廃業等届出書
・給与支払事務所等廃止届出書 ・所得税の青色申告の取りやめ届出書 ・事業廃止届出書 |
| 保健所 | ・廃業届
・飲食店営業許可書を返却 |
| 消防署 | ・防火管理者解任届出書 |
| 警察署 | ・深夜酒類提供飲食店営業開始届出書の廃止届
・風俗営業の営業許可書の返却 ※風俗営業許可を得ている場合のみ ・風俗営業の返納理由書 |
開店時に必要な手続き
新店舗を始める際には、再び開業の手続きが必要です。また、提出には期限もあるため早めの対応が重要と言えます。
| 管轄 | 手続き・提出書類 |
| 税務署 | ・個人事業の開業・廃業等届出書 |
| 保健所 | ・開業届
・飲食店営業許可書の申請 |
| 消防署 | ・防火管理者選任届出書
・防火対象物設備使用開始届書 |
| 警察署 | ・深夜酒類提供飲食店営業開始届出書
・風俗営業の営業許可書の申請 |
業種によっても必要な提出書類や手続きが変わるため、専門家やプロへ相談しながら準備を進めるのがおすすめです。ウラシコでは、店舗開業や閉業、移転の際に必要な手続きに関するご相談も対応可能です。手続きに関するお困りごとがあれば、まずはお気軽にご相談ください。
ウラシコが手掛けた店舗の案件
ウラシコでは、これまで数多くの店舗移転・閉店・原状回復工事に携わってきました。飲食店を中心に、美容室や物販店、オフィス併設型の店舗など、業態や規模の異なるさまざまな現場を経験しています。事例はYouTubeでご紹介しておりますので、ぜひこちらのページもご参照ください
まとめ

店舗移転は、単に新しい物件を見つけて引っ越す作業ではありません。どこから手をつけ、どの順番で進めるかによって、かかる費用やスケジュール、そして移転後の経営状況まで大きく変わってきます。
実際、うまくいっている店舗移転ほど、特別な裏技があるわけではなく、基本的な段取りを丁寧に踏んでいるケースが多いと思います。
まず重要なのは、今借りている店舗の契約内容を正しく把握することです。新しい店舗のことに目が行きがちですが、「立つ鳥跡を濁さず」は本当に重要です。
ウラシコでは、原状回復工事や解体工事を数多く手がけてきた実務経験をもとに、「今の店舗をどう終わらせるか」と「次の店舗をどう始めるか」をセットで考えたご相談にも対応しています。まずはお気軽にご相談ください。
テナントの原状回復費用についてはこちらのYouTube動画でも解説しています!ぜひこちらもご覧ください。
原状回復・内装解体は当社にお任せください!

ウラシコは名古屋市を拠点とする原状回復工事・解体工事の専門業者です。名古屋市を中心に東海エリア全域で年間約2,000件以上の現場実績があります。オーナー様・管理会社様・入居者様いずれのご依頼にも対応可能です。
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