2026/03/12
原状回復特約とは?例文付きで徹底解説!どこまで有効?借主が負担する範囲の考え方

今回は、「原状回復特約」について、具体的な事例を交えながら紹介していきます。賃貸物件の退去でよく問題となるのがこの「原状回復特約」です。
原状回復とは、賃貸借物件の退去時に発生するもので、大雑把に言うと入居期間中につけてしまった傷などを修繕することです。原状回復については、賃貸借契約書で「特約」として規定されていることが多くあります。
私たちウラシコにも「特約」に関するご相談は本当によくいただきます。皆さまから寄せられたよくある質問をもとに、まとめていきたいと思います。
目次
賃貸借契約書によくある「原状回復特約」の例文と解説

特約は、「契約書に書かれていればすべて有効」というわけではありませんが、実務上よく見かける条文があります。ここでは具体的な例文を挙げ、その内容と注意点を解説していきます。
※前提となる考え方
国土交通省が定めた『原状回復をめぐるトラブルとガイドライン』では、原状回復とは「借主の不注意やわざと壊した部分は借主が直すべきだが、普通に暮らしていて古くなったり汚れたりした部分は大家さんが負担すべき」と規定されています。これを念頭に置いて読み進めてください。
ハウスクリーニング費用の負担特約

条文例
退去時において、汚損・破損の有無にかかわらず、借主は専門業者による室内清掃費用として金〇円(税別)を負担するものとする。
ポイント
この特約は、もっともよく使われるものです。本来、借主が通常の掃除をして返せば、次の入居者のための専門的なクリーニング費用は貸主が負担すべきものです。
しかし「金額が契約時に明示されており、借主があらかじめ費用を予測できること」「ワンルームで3万〜5万円程度など相場から著しく逸脱していない限り、合理性があると判断されやすいこと」を満たしていれば、この特約は「有効」とされるケースが多いのが現状です。
ただし、「実費を負担する」とだけ書かれていて金額が不明確な場合や、相場に比べてあまりに高額な場合は無効を主張できる可能性があります。
畳・襖・障子の張替え特約

条文例
退去時において、畳の表替え、襖・障子の張替え費用は、その損傷の有無にかかわらず全額借主の負担とする。
ポイント
この特約は、和室がある物件でよく見られるものです。畳や襖は日焼けなどで自然に劣化するものなので、本来は経年劣化や通常損耗の範囲に含まれますので、貸主負担となるケースですが、古くからの慣習として契約書に含まれることが多いです。
判例では「自然損耗分も含めて借主が負担する」という特約が有効とされるには、借主がそのことを明確に認識し、合意していることが必要とされています。
ただし、入居期間が非常に短かった場合(数ヶ月など)でも「全額負担」を求められるのは合理的ではないとして、減額交渉ができる余地があります。
小修繕の負担区分に関する特約

条文例
電球、蛍光灯、パッキン、ヒューズ等の消耗品の交換、および排水詰まり等の軽微な修繕に要する費用は、借主の負担とする。
ポイント
「小修繕(しょうしゅうぜん)」とは、建物の機能維持や劣化防止を目的に、数百円〜数千円程度の低コストかつ短期間(1日程度)で実施される部分的な修繕・補修工事のことで、電球やパッキンの交換、網戸の張り替え、外壁の一部ひび割れ補修など、日常的な不具合対応が含まれます。
この特約は、生活に必要な細かいメンテナンスに関する特約であり、一般的には有効です。電球が切れるたびに管理会社や大家さんを呼んで交換してもらうのは現実的ではないため、少額の消耗品は借主が自分でやってください、という趣旨になります。
ただ、どこまでが「小修繕」で、どこからが「設備故障(貸主負担)」なのかが争点になることがあります。
例えば、エアコン自体が壊れた場合は貸主負担ですが、リモコンの電池切れは借主負担です。給湯器の故障など、高額な設備修理まで借主負担と書かれていた場合は、消費者契約法により無効となる可能性が高いです。
エアコン清掃費用の負担特約

条文例
退去時において、借主は設置されているエアコンについて、専門業者による内部洗浄費用として1台につき金〇円を負担するものとする。
ポイント
エアコンは日常使用による内部汚れが発生するため、退去時にクリーニング費用を借主負担とする特約が設けられることがあります。
契約時に金額が明示されている場合は有効と判断されやすい傾向があります。一方で、金額の記載がなく「実費負担」とだけ書かれている場合は、無効を主張できる可能性があります。
ペット飼育による原状回復特約

条文例
借主がペットを飼育した場合、退去時においてペットによる臭気・汚損・損傷の有無にかかわらず、貸主は室内の消臭・消毒およびクロスの張替え等を行うことができ、その費用は借主の負担とする。
ポイント
ペット可物件でよく記載されている特約です。ペット可物件では、ペット特有の臭い・引っかき傷・床の汚れなどが発生しやすいため、通常の原状回復よりも借主の負担範囲を広げる特約が設けられることがあります。
たとえペット可物件でも、原状回復はしっかり借主が負担する必要があるということですね。特約の内容や負担範囲を契約時に確認しておくことが重要です。
鍵交換費用の負担特約

条文例
契約終了時、借主は鍵の交換費用として金〇円を支払うものとする。または、入居時に鍵交換費用として金〇円を支払う。
ポイント
防犯上の理由から行われる鍵交換に関する特約ですが、『原状回復をめぐるトラブルとガイドライン』では「次の入居者のための鍵交換は、物件管理の一環として貸主が負担するのが妥当」とされています。
しかし、特約として金額が明記され、借主が合意していれば有効となるケースが多いです。
ただし、紛失や破損をしていないにもかかわらず、高額なシリンダー交換費用を請求された場合、その金額が市場価格と乖離していないか確認が必要です。
喫煙によるクロス張替え特約

条文例
借主が室内で喫煙を行った場合、退去時のクロス張替え費用および消臭費用は借主の負担とする。
ポイント
近頃は減りましたが、喫煙可能をうたう物件に設定されることがある特約です。ヤニや臭いは借主の使用による損耗と判断されることが多いため、この特約は比較的有効とされやすい特約です。ただし、汚れの程度によっては全面張替えが認められないケースもあります。
退去時修繕費一律負担特約

条文例
借主は退去時に室内修繕費として一律金〇円を支払うものとする。
ポイント
この特約は明確な理由がない限りやや不当な特約になります。実際の損耗状況に関係なく費用を請求する内容になるため、合理性がない場合は無効と判断される可能性が高い特約です。
原状回復一切借主負担特約

条文例
借主は退去時における原状回復費用の一切を負担するものとする。
ポイント
これは最も問題になりやすい特約です。国土交通省のガイドラインでは、通常損耗と経年劣化については貸主負担とされています。そのため、このような包括的な特約は無効と判断される可能性が高いです。このような特約がある場合は、大家さんに確実に理由を聞きましょう。
ただし、この特約が店舗やオフィスなど、商用利用のテナントに設定されていた場合は有効になります。商用利用の場合、原状回復ガイドラインは適用されませんのでご注意ください。※原状回復ガイドラインは住居利用を対象とした指標となります。
ご紹介した特約以外の内容があった場合は
これまでにご紹介した事例以外の特約は非常に稀な特殊なケースです。そのような特約があった場合は、専門機関に相談しましょう。原状回復トラブルの相談先は以下のコラムにて徹底解説しています。ぜひこちらもご参照ください。もちろん、私たちウラシコにもお気軽にご相談ください。
特約が「無効」となる範囲

特約が有効と判断されるための基準
賃貸借契約書にサインしてしまったら、どんなに理不尽な内容でも従わなければならないというわけではありません。
最高裁判所の判例(平成17年12月16日など)により、本来貸主が負担すべき通常損耗や経年劣化の修繕費を借主に負担させる特約が有効となるためには、以下の3つの要件すべてを満たす必要があるとされています。
①特約の必要性があり、かつ暴利的でないこと
客観的に見て、その特約を結ぶ合理的な理由があり、金額などが常識の範囲内であることが必要です。先に紹介した例で行くと、クリーニング代や鍵交換代が相場より高すぎないことがこれに当たります。
②借主が特約の内容を明確に認識していること
「通常なら貸主負担となるところを借主が負担しなければならない」ということを、借主がはっきりと理解していることが必要です。先の例では、鍵交換や畳・襖・障子の張替えを借主負担で実施しなければならないことを認識しているかどうかがポイントです。
③借主が特約による義務負担の意思表示をしていること
賃貸借契約書に記載されている内容をきちんと理解した上で、合意していることが必要です。
契約書に小さな文字でこっそりと「壁紙の張替えは全額借主負担」と書いてあり、契約時に何の説明も受けなかったような場合には、「説明義務違反」や「消費者契約法10条(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)」を根拠に、支払いを拒否できる可能性が高いです。
借主負担と貸主負担の境界線
最後に、特約以外でよく揉める具体的な箇所について、どちらが負担すべきかの判断基準を整理します。
| 場所 | 貸主負担となる例 | 借主負担となる例 |
| 壁、クロス | ・テレビや冷蔵庫の後ろの電気焼け(黒ずみ)
・画鋲の穴(下地ボードの交換が必要ではない範囲) ・日焼けによる変色 |
・釘やネジの穴(下地ボードにダメージを与える大きな穴)
・結露を放置してできたカビやシミ ・タバコのヤニや臭い ・ペットによる傷 |
| 床、フローリング | ・家具の設置による凹み
・次の入居者のためのワックスがけ |
・引っ越し作業時の傷
・飲み物をこぼして放置したシミやカビ ・雨の吹き込みによる変色(窓を開放した状態で発生したもの) |
| キッチン、浴室、トイレ | ・給湯器の寿命による交換
・通常清掃で落ちる程度の水垢 |
・油汚れ(スス)の放置
・カビの放置 |
原状回復特約まとめ

原状回復特約は、本来貸主が負担すべき費用を借主に負わせる例外的な契約条項ですが、契約書に書いてあるからといって、無条件にあらゆる請求が認められるわけではありません。
重要なのは、その特約が「明確に合意されたものか」「金額は妥当か」「消費者契約法に反していないか」という点です。退去精算書が届いたら、まずは項目の詳細を確認し、納得できない点があれば管理会社に説明を求めましょう。
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