2022/06/21
【2022年版】アスベスト解体除去の補助金や助成金まとめ|調べ方や申請方法を解説します
解体工事前に行う調査でアスベストの含有が判明した場合、解体本工事の前にアスベスト除去工事を行わなければなりません。
アスベストの工事は別料金となり、解体費用に上乗せされることになります。今回は、アスベスト除去工事の費用と補助制度に着目して説明していきます。
なお、条例や工事規模によって特別な基準や手続きが必要な場合がございます。本記事で概要をご確認いただいたあとは、各自治体のホームページ等で必ず詳細をご確認ください。
また、令和4年4月1日のアスベスト関連法令の改正実施内容に関しましては、こちらのページで詳しく解説しています。解体業者の現場目線で変更点を解説していますので、ぜひご参照ください。
目次
令和4年のアスベスト改正実施はYouTube動画でも解説しています!
アスベスト関連法令の改正実施の解説はウラシコのYouTubeチャネル【ウラシコチャンネル】でも解説しています。解体業者の目線で現場がどのように変わるのかわかりやすく説明していますので、ぜひこちらもご参照ください!
アスベストの補助金制度
国は、解体工事前のアスベスト調査や、アスベスト除去工事に対して補助制度を創設していますが、申請の窓口は地方自治体です。
そのため、場合によっては補助を受けることができない可能性もありますので、まずは各自治体の窓口で事前に確認してください。
アスベスト調査に対する補助制度
アスベストの分析調査に対して給付される補助金があります。国が示している支給条件は以下のようになります。
・補助事業の対象:建築物の吹付け材のアスベスト含有の有無に関する調査
・対象建築物:吹付けアスベスト、アスベスト含有吹付けロックウール、吹付けバーミキュライト、吹付けパーライトが使用されている可能性がある建築物
・補助額:限度額は原則として25万円/棟
先にも述べましたが、自治体によって支給条件や支給額、申請方法が異なりますので、事前に管轄の自治体の窓口などで確認しましょう。
補助金の給付が決定したら、調査業者に調査を依頼するという流れになります。
アスベスト除去工事に対する補助制度
アスベスト除去工事に対しても国としては補助金を交付する制度を創設しています。国が示している支給条件は以下になります。
・補助事業の対象:アスベストの除去、封じ込め、囲い込み工事
・対象建築物:吹付けアスベスト、アスベスト含有吹付けロックウールが使用されている可能性がある建築物
・補助額:地方公共団体の補助額の1/2以内(かつ全体の1/3以内)
アスベストの除去工事の場合にも、申請窓口は各自治体になります。自治体によって申請方法、交付額などが変わってきますので、事前に確認が必要です。
アスベスト調査について
アスベストの調査方法
アスベスト調査は大きく分けると3つの段階があります。まずは設計図書(建築時の施工図・材料表など)で、アスベストが使用されているかどうかを確認します。ここである程度使用されているかどうか、使用が疑われる場所の目星をつけることができます。
ある程度予測がついたら実際に現地調査を行い、目視で確認していきます。目視だけでわからない部分に関しては、サンプルを採取し分析調査を行うことになります。それぞれの段階についてもう少し詳しく説明します。
①設計図書の確認
建物の設計図書は、建築物を施工した建設業者又は工務店などに問い合わせて入手する必要があります。
一般的に、法定保存期間に関してはどこかしらが保管しているはずですが、無い場合には、現地調査で明らかにする必要があります。
また、入手できたとしても、アスベストの使用の記載がない場合や増改築などで、変更されている場合がありますので、現地調査も必要になります。
②現地調査(目視確認)
アスベストが使用されている場所はある程度決まっていますので、その箇所を中心に現地で目視調査を行います。ここで、アスベストの使用はもちろんですが、アスベストが使用されている建材の状態も確認する必要があります。
その状態によっては、封じ込めや囲い込みなどの手段をとることができない場合もありますので、その状況次第で実施する工事が変更になる可能性もあります。
③分析調査
現地調査で確認してもよくわからない場合には、サンプルを採取し分析検査を行うことになります。分析方法には、定性分析と定量分析の2種類があります。
定性分析とは、指定されているアスベスト(クリソタイル、アモサイト、クロシドライト、トレモライト、アンソフィライト、アクチノライト)が0.1%を超えて含まれているかどうかを調べるものです。
定量分析とは、サンプルのアスベスト含有率を調査するものです。
アスベスト調査の費用相場
一連の調査を依頼する場合には、30,000円~100,000円程度の費用がかかります。アスベストレベル (詳しくは後述) や建物の広さ、サンプルの採取の有無、分析検査の有無などによって費用が大きく変わりますので、あくまでも大まかな目安としてお控えください。
アスベスト除去工事
アスベスト除去工事の種類
アスベストの除去に関する工事には、「除去」、「囲い込み」、「封じ込め」の3種類があります。それぞれ簡単にどのような工事なのか説明していきます。
除去
文字通りアスベストが使用されている部分を取り除き、代替の非アスベスト材と入れ替える工事です。アスベストをすべて取り除く工事であるため、工事後の健康被害の心配はなくなります。
囲い込み
建物内に使用されているアスベストに特殊な溶剤を吹きかけることで固定し、アスベストが飛散しないように封じ込める工事です。アスベストを完全に取り除くわけではないため工事後も定期的に、アスベストの検査が必要になります。
封じ込め
アスベストが使用されている部分はそのままに、板状の非アスベスト材をその外側から取り付けてアスベストを完全に密封し飛散を防ぐ工事です。これも、「封じ込め」同様アスベストを取り除くわけではないため、定期的な検査が必要です。
アスベスト除去工事の費用相場
先にも述べたように、アスベスト除去工事は通常の解体工事とは別料金となります。アスベストの除去工事には、相応の保護具が必要になり、特別な廃棄処分を行わなければならないため、その分だけ費用がかかることになります。
以下に示すのは一般的なアスベスト解体工事の費用の目安です。ただし、こちらも調査と同様に、建物の種類、アスベストレベルや建物の広さで大きく変動します。詳しくは、工事業者に見積もりを依頼し、費用感を把握しましょう。
面積 | 費用単価 |
---|---|
300㎡以下 | 2.0万円/㎡ ~ 8.5万円/㎡ |
300㎡~1,000㎡ | 1.5万円/㎡~ 4.5万円/㎡ |
1,000㎡以上 | 1.0万円/㎡ ~ 3.0万円/㎡ |
※場合によっては、この金額の範囲におさまらない場合もあります。
アスベストレベルごとの費用相場
ここで注意しなければならないのが、アスベスト建材にはその発じん性によって3つのレベルに分けられているという点です。各レベルによって必要とされる作業員のばく露対策や必要な申請などが異なりますので、各レベルごとの簡単な説明と費用相場の違いをみていきます。
いずれの場合でも、アスベストが使用されていることに変わりはないため、周囲への注意喚起や周知、作業場の湿潤化などの措置は必要になります。
アスベストレベル1
レベル1の建材は、石綿を1重量%以上含有する吹付け材(石綿含有吹付け材)です。耐火建築物の柱、駐車場や機械室などの天井や壁、エレベーター周りなどに使われていることが多いです。
アスベストが飛散する可能性(発じん性)が一番高いため、工事の時には、作業場所の完全隔離や保護衣・防塵めがね・高性能防塵マスクの着用、作業場所の湿潤化、廃棄物の二重袋詰めなど厳重なばく露防止対策が求められます。
費用としては、1平方メートル当たり1.5万円〜8.5万円程度が目安となります。作業の際の危険性が高く、使用されている面積が広い(除去しなければならない面積が広い)場合が多いため、工事費用も高額になる可能性が高いです。
アスベストレベル2
レベル2の建材は、石綿を1重量%以上含有する保温材や耐火被覆材、断熱材です。シート状で配管などに巻き付けて利用されていることが多く、主に配管や空調ダクトの保温材、屋根用の断熱材、建物の柱や梁の耐火被覆材などで使われています。
工事の際には、レベル1の場合と同じく厳重なばく露防止対策が求められますが、作業員が使用する保護具は多少簡易的なものでも認められています。
費用としては、1平方メートル当たり1万円〜6万円程度が目安となります。作業時の危険性は、レベル1と同程度ですが、作業面積がレベル1よりも狭いことが多いため、レベル1に比べると低くなりますが、高額になる可能性は十分にあります。
アスベストレベル3
レベル3の建材は、主に板状などのように硬く成形された建材です。床のタイルや建物の屋根材・外壁材として使用されていることが多いです。
工事の際には、レベル1、2と比べるとばく露対策も比較的簡易的なものが認められています。
費用としては、1平方メートル当たり0.3万円程度が目安となります。レベル1、2と比較して硬く割れにくい建材のため、作業時の危険性が低いことが大きな要因となっていることがわかります。
ただし、使用されている建材が多岐に渡る場合には、十分高額になる可能性もありますので注意してください。
まとめ
今回は、アスベスト調査、アスベスト工事の費用と補助制度に関して説明しました。補助制度に関しては、各自治体によって異なるため、詳しくは各自治体の窓口で確認しましょう。
アスベストに関する記事はこちらのカテゴリーでまとめています。令和4年度の改正法令を反映した記事を公開していますので、ぜひ合わせてご確認ください。
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