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解体工事の勘定科目と仕訳をわかりやすく解説!節税対策も併せてご紹介します!

所有する物件の解体工事

所有する物件の解体工事や原状回復を行う際、経理処理で悩む方からのご質問を多くいただきます。滅多にない解体工事で、どの勘定科目を使い、どのように仕訳を行えば良いのか分からないのも当然です。

本記事では解体工事の勘定科目、仕訳方法、節税対策をわかりやすさを重視してまとめました。解体工事費用の計上は意外にもシンプルです。ポイントを押さえれば簡単に処理できますので、ぜひ最後までご参考ください。

また、原状回復工事の仕訳方法についてはこちらで詳しく解説しています。原状回復目的で内装解体を行う場合は、こちらも合わせてご参照ください。

解体工事費用の勘定科目は解体を行う目的によって異なる

さっそくですが、解体工事費用の勘定科目を解説して参ります。まず前提として、解体費用の勘定科目は、解体を行う目的により異なります。そのため、解体工事全般の仕訳方法も合わせて覚えておきましょう。

建物の撤去だけが目的の場合「固定資産除去損」

建物の撤去だけが目的の場合

解体工事を終えた後に、特に新しい建物を建てる予定がない場合は、「固定資産除却損勘定(資産科目)」を用いて費用処理します。この時に、解体費用(例えば100万円)と元々の建物の帳簿価額(例えば200万円)を減少させ建物を相殺する必要があります。具体的な仕訳は次のようになります。

(例)建物の解体費用として、解体費用100万円を銀行振込で支払った。なお、建物は帳簿上で200万円の価値があった

借方 金額 貸方 金額
固定資産除却損 300万円 預金 100万円
建物 200万円

解体後に新しい建物を建設する予定がある場合「前払金」

解体後に新しい建物を建設する予定がある場合「前払金」

「新規に建物を建設する」という目的で、現状の建物を解体する場合、解体工事は新しい資産を取得するために必要な行為とみなされます。そのため解体費用は新規資産の取得にかかる費用とみなして処理します。。

新規資産取得費用=既存資産解体費用+新規資産建設費用とし、解体費用の仕訳は新規資産の取得価格に含める処理を行います。

既存の建物の解体費用が300万円かかり、解体後に新しい建物を1,000万円で建築したとします。この場合の仕訳は「前払金(資産科目)」勘定を用いて資産科目に計上します。具体的な仕訳は次のようになります。

(例)既存の建物を300万円で解体し、1,000万円で新しい建物を建設した

借方 金額 貸方 金額
建物 1,300万円 預金 1,000万円
前払い金 300万円

土地利用目的で建物付きの土地を購入し、その建物を解体する場合「土地」

解体後に新しい建物を建設する予定がある場合

土地利用目的で建物を購入し解体する場合は、土地の取得費用に解体費用を加える形となります。ただし国税庁により、土地の取得費用に加えられるのはその建物を取得してから概ね1年以内とされています。

この場合の仕訳は「土地(資産科目)」勘定を用いて資産科目に計上します。具体的な仕訳は次のようになります。

(例)土地利用目的で建物を100万円で購入し、その解体費用に200万円かかった

借方 金額 貸方 金額
土地 300万円 預金 300万円

出典:国税庁土地とともに取得した建物を取り壊した場合の土地の取得価額

原状回復が目的の場合「修繕費」

原状回復が目的の場合

建物の解体工事の目的が原状回復である場合、解体・撤去費用を「修繕費(費用科目)」として計上します。このケースで注意すべきは「修繕した箇所が既存の物件と同一の仕様で同一価値」である必要がある点です。

つまり、原状回復以外の間取りの変更や防犯カメラの設置などは、価値を増加させることになり新たな資産の取得に当たると考えられます。その場合は費用ではなく、資産に計上しなければならないことに注意しましょう。

具体的な仕訳は次のようになります。

(例)原状回復費用として50万円を銀行振込で支払った

借方 金額 貸方 金額
修繕費 50万円 預金 50万円

軽微な解体工事の勘定科目は「建物」または「建物附属設備」

軽微な解体工事の勘定科目は「建物」または「建物附属設備」

軽微な解体工事や店舗内装の一部を解体する場合は、固定資産除却損(特別損失)ではなく、4つの分類で進めていくことになります。勘定科目は以下の通りです。

建物 建物自体に行う解体工事(蔵座の撤去、木工工事、耐震工事、防水工事など)
建物附属設備 建物に付随する附属設備の工事(配線工事、空調設備設置、消火設備設置など)
備品 テーブル、椅子、什器、厨房機器など
その他の経費 設計費など

節税するなら建物附属設備として計上する

ここで支出額を「建物」として処理するか「建物附属設備」で処理するかで耐用年数や税金が異なります。結論、節税するならできる限り建物附属設備として計上しましょう。

なぜかというと、耐用年数が「建物」は20~50年程度に対して「建物附属設備」は15年だからです。つまり、15年の方が短期で減価償却ができるので、節税につながるのです。

対象は国税庁が提示している減価償却の耐用年数を参考にしましょう。下記にて代表的なものを抜粋します。

建物附属設備

構造・用途 細目 耐用年数
アーケード・日よけ設備 主として金属製のもの
その他のもの
15
8
店舗簡易装備 3
電気設備(照明設備を含む。) 蓄電池電源設備
その他のもの
6
15
給排水・衛生設備、ガス設備 15

出典:国税庁-耐用年数(建物/建物附属設備)

節税対策:資産勘定で処理するか、損益勘定で処理するか

解体工事の勘定科目と節税について理解を深めておきましょう。一般的に何かの支払いをした場合の会計処理は、次の2通りの方法があります。確定申告と節税を軸に、それぞれのメリットについて見ていきましょう。

  • 費用として計上
  • 資産として計上

解体費用を「費用」として計上する場合

確定申告で解体工事費を費用として計上する場合は、その支払いを行った年の利益が大きく下がるため、所得税が安くなります。解体費用を支払った年に大きな利益が出ている場合は、工事費を費用として計上する方が節税につながると言えます。

解体費用を「資産」として計上する場合

資産として計上する場合は、資産ごとに定められている「耐用年数」で按分することにより少しずつ経費にしていく「減価償却」という方法で処理していきます。長期間にわたって経費にするため、所得税への影響も長期にわたります。「長期間にわたって利益が見込まれる場合」は資産計上した方が節税につながります。

減価償却とは?

内装解体と確定申告

減価償却とは、固定資産を購入した時に、その購入代金を一度に経費とするのではなく、分割して少しずつ計上するルールのことをいいます。例えば500万円の車を買って、耐用年数が10年間であるケースを考えてみましょう。

500万円を一括で費用とするのではなく、耐用年数で按分して「今年は50万、翌年に50万、翌々年に50万…」というように、10年かけて少しずつ経費として計上していくことになります。少しずつ経費として計上するため、それにかかる税率が下がります。

こちらの記事では原状回復や解体工事の際に頻出する勘定科目、「資産除去債務」を解説しております。資産除去債務を理解しておけば節税につなげることもできますので、是非こちらもご参照ください。

解体工事の簿記の仕訳の流れ

最後にごく簡単ではありますが、簿記の仕訳について解説していきます。仕訳は基本的に次のような流れで行います。

①取引が発生したら、資産・負債・純資産・費用・収益のどのグループに属するかを決める

②どの勘定科目を使うのかを決める(例:建物・備品・現金・普通預金 など)

③損益計算書or貸借対照表に勘定科目(財務諸表)と金額を記入する

例えば、100万円のテナントを現金で購入した場合、建物という資産が増えて、現金という資産が減少します。こうした二面性を持つ取引を借方と貸方という要素に分けて、財務諸表に金額を記入する作業が仕訳です。このとき借方と貸方の金額は常に一致します。

貸借対照表と損益計算書について

前述したとおり、仕分けは貸借対照表と損益計算書に記載する作業のことを指します。この貸借対照表や損益計算書は財務諸表といいます。それぞれの財務諸表の特徴をごく簡単に解説します。

貸借対照表

貸借対照表

決算日時点での会社の財政状態を表す会計書類です。資産は借方、純資産と負債は貸方に記入します。

借方 金額 貸方 金額
現金 100万円 資本金 100万円

損益計算書

勘定記入のルールについて

一定期間の会社の損益を示す会計書類です。費用は借方、収益は貸方に記入します。先述した例で考えると、建物という資産が増えたので、「借方」の勘定科目は建物100万円、現金という資産が減ったので「貸方」の勘定科目は現金:100万円といった仕訳になるわけです。

借方 金額 貸方 金額
建物 100万円 預金 100万円

勘定科目とは?

簿記の仕訳の流れ

勘定科目とは日々の取引を帳簿に記入する時の科目です。例えば「電話代」を支払ったら「通信費」といった形で使います。このように発生した取引をその性質ごとに振り分けたものを勘定科目と言いいます。勘定科目は上記で紹介したグループごとに様々な種類があります。

貸借対照表:資産グループ

「資産」とは企業などが保有する経済的資源のことです。主な勘定科目は現金、預金、土地、建物、有価証券などです。商品やサービスを販売して、代金が未入金となっているもの(売掛金)や、すでに支払ったサービスの費用のうち、まだサービスを受けていないもの(前払費用)も資産に含まれます。

貸借対照表:負債グループ

「負債」とは企業などが保有している経済的資源のうち、放棄したり、引き渡したりする義務のあるものです。主な勘定科目は、金融機関や取引先への借入金、買掛金、未払金などがあります。

貸借対照表:純資産グループ

「純資産」とは資産から負債を引いたものです。主な勘定科目に、資本金、資本余剰金、利益余剰金などがあります。

損益計算書:収益グループ

「収益」とは売上に代表される収益です。主な勘定科目に売上、売上手数料、雑収入などがあります。

損益計算書:費用グループ

「費用」とは収益を得るためにかかった費用です。勘定科目は商品の仕入代金である仕入、外注費、給料、水道光熱費、通信費など多岐にわたります。

解体工事の仕訳はその目的によって異なる

内装解体の仕訳はその目的によって異なる

解体工事の仕訳はその目的によって異なるということがわかりました。目的ごとに様々な方法で費用計上することで所得税の支払額を抑えることができます。

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