2022/05/24
【2022年版】名古屋市のアスベスト調査除去工事の補助金|対象や申請方法をわかりやすく解説します
2022年4月1日にアスベスト関連法令の改正が実施され、アスベスト含有を調べる事前調査の結果報告が義務付けられました。当然、これらの調査や除去工事はコストがかかるため、解体工事全般のコスト増が懸念されています。
これを受けて名古屋市は、2022年度からアスベスト調査や除去に関する補助金制度を提供しています。本記事では、名古屋市のアスベスト調査除去工事の補助金内容や申請方法などを解説していきます。
これから建築物の解体や改修工事を行う方はぜひ本記事を参考にしてみてください。なお本記事の情報は2022年5月次点の情報になります。
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目次
令和4年のアスベスト改正実施はYouTube動画でも解説しています!
アスベスト関連法令の改正実施の解説はウラシコのYouTubeチャネル【ウラシコチャンネル】でも解説しています。解体業者の目線で現場がどのように変わるのかわかりやすく説明していますので、ぜひこちらもご参照ください!
2022年4月から義務化された「アスベスト調査結果の報告」とは
2020年度に交付されたアスベスト関連法令の改正に基づいて、建築物の解体や改修工事の前にアスベスト含有の事前調査と、その調査結果の報告をすることが定められました。
建築物の解体や改修工事の際には、一部の例外を除いて、アスベストの有無を事前調査して判別しなければなりません。さらに、一定規模以上の工事に関しては、調査結果を都道府県と労働基準監督署へ報告しなければなりません。
調査結果の報告対象となる建築物は以下の通りです。
- 建築物の解体工事:床面積の合計80 ㎡以上
- 建築物の改修工事:請負代金の合計額100万円以上(税込)
- 工作物の解体・改修工事:請負代金の合計額100万円以上(税込)
- 鋼製の船舶の解体又は改修工事:総トン数20トン以上
そのほかに、環境省では電子システムによる「石綿(アスベスト)事前調査結果報告システム」の方法なども発表しています。詳しくは下記リンクよりご参照ください。
名古屋市のアスベスト調査・除去工事の補助対象
名古屋市のアスベスト調査や除去工事の補助金は、すべての建築物が対象となるわけではありません。対象となる建築物は、以下の通りです。
- 名古屋市内にある民間の所有する建築物
- これからも継続して使用する建築物
- アスベスト調査や除去工事に関するその他補助を受けていない建築物
補助対象外となる建築物
補助対象から外されてしまう建築物は、以下の通りです。
- 建築業法などに違反している建築物
- 今後解体を予定している建築物
- 固定資産税や都市計画税などを滞納している建築物
- 吹付け建材ではなく、成形板などの調査や除去工事を行う建築物
- 吹付けアスベストの調査や除去工事について、分析機関や工事施工者との契約済みの建築物
- 吹付けアスベストの調査や除去工事について、分析調査・除去等を実行中の建築物
- 吹付けアスベストの調査や除去工事について、分析調査・除去等が完了した建築物
名古屋市によるアスベスト調査・除去工事の補助内容
上記法令改正を受けて、名古屋市では、アスベスト調査や除去工事の補助金制度を提供しています。ここからは名古屋市の情報をもとに、解体工事業者目線で補助金取得の流れをまとめます。
アスベスト調査 | 平均7万円程度(上限15万円)の調査費を全額保証 |
アスベスト除去工事(除去、封じ込め、囲い込みなど) | 除去等に要した費用の3分の2(上限120万円)を保証 |
なお、本記事でご紹介する補助金は、2022年5月次点での情報となります。最新の名古屋市のアスベスト調査や、除去工事についての対策については、「名古屋市 住宅都市局 建築安全推進課 建築防災係」にてお応えいただけます。
参照:名古屋市民間既存建築物吹付けアスベスト対策補助事業のご案内
名古屋市によるアスベスト対策補助事業に関する書類のダウンロード
アスベスト調査に関する補助金と除去工事に関する補助金は、申請書類と手順が異なります。ここからはそれぞれの申請方法を詳しく解説します。各申請書類は、下記のリンクからダウンロードできます。
参照:名古屋市|吹付けアスベスト対策補助事業に関する書類のダウンロード
アスベスト調査の補助金の申請方法
まず最初にアスベスト調査に関する補助金の申請方法を解説します。アスベスト調査の補助金の申請方法は大きく5つの手順に分かれています。
- 事前相談
- 補助金交付申請書の作成と提出
- 着手届の提出
- 調査後の完了実績報告書の提出
- 補助金交付請求書の提出
①事前相談
名古屋市役所へ事前相談を行います。事前相談の提出書類として、下記の書類を準備しましょう。
- アスベスト調査を依頼する建築物の平面図(分析を要する位置が分かる図面)
- 建物の外観写真
- 吹付材の位置が分かる写真
- 吹付材を直近から撮影した写真
主に上記の書類や写真が必要とされていますが、工事の内容や規模によってはその他の書類が必要となる場合があります。事前に名古屋市役所の担当に確認しておきましょう。
必要な書類や写真が準備できたら、名古屋市役所に連絡し、申請の可否を判断してもらいます。申請許可がもらえたら、調査分析機関を選定して見積書を依頼しましょう。この際、複数(2社以上)の調査分析機関に見積書の依頼を行う必要があるため注意しましょう。
②補助金交付申請書の作成と提出
事前相談を行い、調査分析機関の選定ができたら、補助金交付申請書の作成を行います。補助金交付申請書「様式第1号」を使用して、その他各種必要書類を揃えましょう。必要な書類は以下の通りです。
- 補助金交付申請書「様式第1号」
- 図面関係(案内図、配置図、各階平面図)
- 建屋内アスベストの現況写真
- 対象建築物の登記事項証明書
- 固定資産税・都市計画税の課税明細書のコピー(申請書提出日直近のもの)
- 固定資産税・都市計画税の納税証明書または領収書 (直近の支払い期日分のもの、申請者が管理組合の場合は組合規約及び管理組合の議決書など)
- 共有者(区分所有者)がいる場合は同意書など
- 2社以上の調査分析機関の見積書
- 確認済証・検査済証など
- 委任状(本人以外が申請手続きをする場合のみ)
上記の申請書を揃えて申請が許可されると、「補助金交付決定通知書」の発行連絡が行われます。発行連絡が来たら、調査分析機関への依頼を行い、現地調査などをしていきます。
この際の注意点として「補助金交付決定通知書の連絡」から「完了実績報告書の提出」までを45日以内で行う必要があります。迅速な書類作成と手続きを行い、期間内にアスベスト調査を行いましょう。
③着手届の提出
現地調査に入る前に、着手届の提出を行う必要があります。着手届の提出には、着手届(様式第8号) と以下の書類が必要です。
- 着手届(様式第8号)
- 調査分析機関の請負契約書や注文請書
- アスベスト調査着手前の写真
- アスベスト調査着手時の写真(サンプル採取中の写真)
上記の書類や写真を提出してから調査に着手しましょう。調査でアスベストが含有していることが判明した場合、完了実績報告書の提出に進みましょう。
もし、調査結果がアスベスト無しの場合、完了実績報告書の提出を行う前に「補助金変更交付申請書」の提出を行う必要があります。補助金変更交付申請書(様式第6号)と以下の書類を準備しましょう。
- 補助金変更交付申請書(様式第6号)
- 分析機関の変更見積書
- 分析結果報告書(建築物石綿含有建材調査者の記名や修了証明書のコピーなど)
上記の申請を終えたら、調査後の完了実績報告書の提出に進みましょう。
④調査後の完了実績報告書の提出
アスベスト調査後に完了実績報告書を提出します。完了実績報告書(様式第9号)と以下の書類を提出しましょう。
- 完了実績報告書(様式第9号)
- 分析機関からの請求書
- 分析結果報告書(建築物石綿含有建材調査者の記名、修了証明書のコピーなど)
上記の書類を準備して、担当者に提出します。申請を終えると、名古屋市から申請者に「補助金額確定通知書発行」の連絡があります。
⑤補助金交付請求書の提出
最後に「補助金交付請求書」の提出を行います。必要書類として、補助金交付請求書(様式第13号)と調査費の領収書が必要です。準備しておきましょう。この申請を終えると補助金の受領が行われます。
- 補助金交付請求書(様式第13号)
- 調査費の領収書
以上が、アスベスト調査の補助金申請方法の手順です。調査結果がアスベスト「有り」の場合、次にご紹介するアスベスト除去工事の補助申請方法を確認しておきましょう。
アスベスト除去工事の補助申請方法
アスベスト除去工事の補助申請方法は、大きく5つの手順に分かれています。
- 事前相談
- 補助金交付申請書の作成と提出
- 着手届の提出
- 調査後の完了実績報告書の提出
- 補助金交付請求書の提出
①事前相談
まずは名古屋市役所に事前相談を行います。下記の書類を準備しましょう。
- アスベスト調査を依頼する建築物の平面図(分析を要する位置が分かる図面)
- 建物の外観写真
- 吹付材の位置が分かる写真
- 吹付材を直近から撮影した写真
- 調査分析機関が発行した分析結果報告書
アスベスト調査の補助金申請と同じ書類書類に加え、調査分析機関が発行した分析結果報告書が必要とされます。調査時に使用した書類を元に、書類や写真を準備しましょう。
名古屋市から申請の許可をもらえると、工事施工者を選定して見積もりを依頼します。
②補助金交付申請書の作成と提出
業者の選定ができたら、補助金交付申請書の作成を行います。補助金交付申請書「様式第2号」を使用して、その他各種必要書類を揃えましょう。
- 補助金交付申請書「様式第2号」
- 図面関係(案内図、配置図、各階平面図)
- 建屋内アスベストの現況写真
- 対象建築物の登記事項証明書
- 固定資産税・都市計画税の課税明細書のコピー(申請書提出日直近のもの)
- 固定資産税・都市計画税の納税証明書または領収書 (直近の支払い期日分のもの、申請者が管理組合の場合は組合規約及び管理組合の議決書など)
- 共有者(区分所有者)がいる場合は同意書など
- 2社以上の調査分析機関の見積書
- 確認済証・検査済証など
- 委任状(本人以外が申請手続きをする場合のみ)
- 調査分析機関が発行した分析結果報告書
上記の申請書を揃えて申請が許可されると、市役所担当者による現場の事前検査が行われます。(※事前に現地調査を行っている場合、事前検査は省略されます)
現場の検査が完了し「補助金交付決定通知書」の発行連絡が行われたら、正式に工事業者に除去工事の依頼をしましょう。
注意点として「補助金交付決定通知書の連絡」から「完了実績報告書の提出」までを90日以内で行う必要があります。迅速な書類作成と手続きを行いましょう。
③着手届の提出
工事に入る前に着手届の提出を行う必要があります。着手届の提出には、着手届(様式第8号)と以下の書類が必要です。
- 着手届(様式第8号)
- 調査分析機関の請負契約書や注文請書
- 施工計画書
- アスベスト調査着手前の写真
- アスベスト調査着手時の写真(養生や安全措置などが分かるもの)
上記の5種類の書類を提出してから工事に着手しましょう。
除去工事完了後、市役所担当者による現場の完了検査を行います。完了検査に合格すると、完了実績報告書の提出に進めます。
④完了実績報告書の提出
工事終了後、完了実績報告書を提出します。完了実績報告書(様式第10号)と以下の書類を提出しましょう。
- 完了実績報告書(様式第10号)
- 分析機関からの請求書
- 改修結果報告書
上記の書類を準備して、担当者に提出します。申請を終えると、名古屋市から申請者に「補助金額確定通知書発行」の連絡が行われます。
⑤補助金交付請求書の提出
最後に「補助金交付請求書」の提出を行います。必要書類は補助金交付請求書(様式第14号)と調査費の領収書です。準備しておきましょう。この申請を終えると、補助金の受領が行われます。
- 補助金交付請求書(様式第14号)
- 調査費の領収書
以上が、アスベスト除去工事の補助金申請方法の手順です。前述のとおり、調査と除去工事では、書類様式や申請書類の種類が異なるため、間違えないように気を付けましょう。
補助金を申請する際の注意点
最後に、申請の際の注意点を抜粋してご紹介します。
- 調査や除去などの申請は1物件につきそれぞれ1回まで
- アスベスト調査除去工事の補助金申請は、建築基準法施行令第1条第1項第1号の「敷地」単位とする(用途上不可分の関係にある複数の建築物は1つの敷地にあるものとする)
- 除去工事については、関係法令による届出や耐火被覆等の復旧工事を行う必要がある
- 調査や除去工事の分析業者・施工業者等を決定する際は、複数社の見積もりを取る必要がある
- 分析調査及び除去等事業の計画の策定は、建築物石綿含有建材調査者が行う必要がある
補助金を活用してアスベスト調査除去工事を!
本記事では、名古屋市のアスベスト調査除去工事の補助金や申請方法について解説していきました。アスベストが使われている恐れがある建築物所有者の方は、名古屋市の補助金を活用して早めに対処しておきましょう。
アスベストに関する記事はこちらのカテゴリーでまとめています。令和4年度の改正法令を反映した最新の情報をまとめていますので、ぜひ合わせてご確認ください。
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