2021/08/27
原状回復の見積書で必ずチェックするべきポイント5選|内装解体の専門業者が解説します。
今回は、原状回復の見積書で必ずチェックするべきポイントについて説明していきます。原状回復工事は頻繁に行うものでなく、相場や大体の価格帯を把握できている方も少ないかと思います。提出された見積もりが適正なものかどうかを見極めるポイントをご紹介します。
また、ウラシコのYouTubeチャンネルでは、内装解体・原状回復工事など、退去費用の見積もり書の見方は動画でも解説しています!ぜひこちらも合わせてご参照ください。
また、こちらのページでは実際に弊社が作成している見積書を掲載しています。各工事の見積書のチェックポイントも合わせてご紹介していますので、ぜひこちらも合わせてご参照ください。
目次
原状回復の費用が高くなってしまう理由
まずはじめに、なぜ見積価格が高くなってしまうのかについての原因をいくつか簡単にご紹介します。
よほどの業者に依頼しない限り、見積価格は適正価格で提示されることがほとんどですが、不明確な点があったり、知識がないために適正価格より高い額でも受け入れてしまう可能性があります。
市場の原理が働かない
基本的に、原状回復工事を行う業者は、賃貸借契約書の中で、業者が指定されている、もしくは貸主側(オーナーや不動産会社)が決める、ということが明記されていることがほとんどです。
そのため、別の業者に見積もりをとって価格交渉をすることができず、市場の原理が働かないため、価格が下がりにくいとされています。
実際に費用を負担する借主側で見積もりを取ってみて、指定業者から提示された見積もりよりも安ければ、減額交渉の余地もあります。
しかし、後でご紹介するポイントを的確に抑えて相手に納得してもらわないとなかなか減額交渉はできません。しっかりとポイントを抑えておきましょう。
下請け孫請け業者が存在する
工事を請け負うのはA社、実際に工事するのは下請けのB社とさらにそのまた下請け(孫請け)のC社、といったケースが考えられます。
このような場合、A社、B社、C社それぞれに利益を上乗せされ、見積価格が適正価格よりも高くなってしまいます。中間で関わるところが多いと、当然マージンもそれだけ発生してしまいます。
不要な工事が含まれている
例えば、共用部の工事や、する必要がない天井や床の工事が含まれている場合があります。
ビルなどの場合だと、共同で使っている廊下やトイレなどは貸主側の管轄であり、借主側が費用を負担して工事をする必要はありません。借主側や工事業者としっかりとした打ち合わせをしていないと、このように不要な工事まで含まれてしまいます。
見積書に記載されている工事の内容で気をつけるべきポイント
ここからは見積書に記載されている工事内容で気をつけるべきポイントを解説して参ります。
①原状回復工事の内容は適正か
まずは、実際に行う工事の内容が適切なものかどうかを確認する必要があります。
ビルや商業施設などに入居している物件の場合、立地的要因により工事時間や使用できる機材に制限がかかる場合があります。例えば、深夜時間帯の工事になったり、機材を使わず手作業が必要な場合、費用は高くなります。
しかし、このような事情がない、もしくは事前にそのような連絡が無いのになぜか無駄に人数が多い、という場合は理由をしっかり確認しましょう。不必要な人員を当てて、工事料金を割増ししている場合があります。
見積書の面積と実際工事する面積が同じかどうか
契約書などに記載される契約面積は、壁の中心線を基準として測る「壁芯計算」で測定した数値を記載していることがあります。この計算方法では実際の専有面積(壁の内側部分で内法面積ともいう)と一致していないことになります。
見積書に記載された工事面積が賃貸借契約書記載の面積と同じであった場合、工事対象でない部分まで含まれていることになるため、減額交渉できる可能性があります。
不要な工事が含まれている場合
壁芯計算に関しては、簡単な例を出しますので参考にしてみてください。壁芯計算とは、壁中心線を基準にして面積を計算する方法です。
例)内壁=80×100、中心線=100×160だとすると、内法面積=8000に対し、壁芯面積=16000となり、倍以上の差が出てきてしまいます。
不要な部分の工事が含まれていないか
先述の面積の話ともつながってきますが、不要な部分の工事が含まれていないかも確認する必要があります。
先に挙げた余分な工事面積もそうですが、共用部の工事が含まれている、必要でない工事や作業が含まれている、無駄に人員が多い、作業が複数回に分けられているなど様々なものが考えられます。
また、貸主との話し合いでクロスや床材など、内装の部分はそのままでも良いということになっているにもかかわらず、クロスや床材の撤去が工事内容に含まれているなどのケースが考えられます。
見積書に、詳細な項目や内訳が記載されず、「〇〇工事一式」などで省略されている場合には、詳細な内容が記されているものに変えてもらい、大まかな工程表(スケジュール)を提示してもらいましょう。
そうすることで、どこにどれだけの費用がかかっているのか確認できます。
「グレードアップ工事」になっていないか
「グレードアップ工事」とは、壁や床などの品質を、借りた時よりも良くしたり新しい設備などを導入しようとする工事のことを指します。
しかし原状回復工事の場合には、借りたときの状態に戻すことが目的であるため、壁や床などの品質を借りた時よりも良くするような工事は不要です。
もし、見積もりを見た際にこのような工事が予定されている場合には、不要である旨を説明し、工事内容を削ってもらい減額交渉をするべきです。
借主としては、グレードアップさせる必要はないので、当然の権利として主張していいでしょう。それで交渉がこじれてしまうようであれば、法律の専門家など第三者にも相談してみましょう。
原状回復の範囲を超えた工事内容の項目はないか
原状回復の工事内容やグレードアップ工事とも通じる部分があるかもしれませんが、エアコンの分解洗浄や、排水管の高圧洗浄、ドアや窓ガラスの新品交換など、通常の原状回復工事ではやらないような内容が含まれている場合には、明らかに原状回復の範囲を超えています。
本当に必要な工事なのか、と疑念をもって見積もりを確認しましょう。そして、その工事が必要か分からない場合には、業者に説明を求めてください。
ただし、話を聞いてみると必要な工事であることもよくありますので、最初から不要であるから削減するように求めるのは、業者との信頼関係に亀裂を入れることにもなりかねませんので注意しましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
見積書の人件費やなどの費用相場がよくわからず、自分で確認するのが大変と思う方は、多少の費用は掛かりますが、提示された見積もりを専門家に見てもらい、検討してもらうことも可能です。
お金を支払う側だからこそ、少しでも安くしたいと思うのは当然のことです。提示されたものをそのまま鵜呑みにしてしまうようなことはやめて、必ず一度精査してから工事を進めていきましょう。
トラブル回避には、信頼できる解体業者を選ぶことが近道です。こちらの記事で詳しく解説しています。こちらも合わせてご参照下さい。
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