2021/02/13
原状回復工事って一体なに?オフィスやテナントの退去で必要な撤去工事をわかりやすく解説します!
原状回復工事とは、賃貸物件を退去する際に入居前の状態に戻す工事のことを指します。今回はオフィスやテナントの場合に必要な原状回復工事について詳しく見ていきましょう!
原状回復工事でどこまで戻す?
原状回復工事の義務は2020年4月1日に改定されています。しかし、オフィスやテナントの工事は原状回復ガイドラインが適用外となります。
原状回復義務(改正民法621条) 賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷(通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化を除く。 以下この条において同じ。)がある場合において、賃貸借が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負う。 |
賃貸契約書によって、修繕する範囲は変わってきますが基本的には「クロス・床板の張り替え、天井の塗り替え、照明器具の取り替え」が含まれていることが一般的です。
大まかに紹介しましたが、次は詳しくどの撤去工事が必要なのか見ていきましょう。また、オフィスや事務所の原状回復につきましてはこちらの記事で詳しくまとめています。ぜひ合わせてご参照ください。
原状回復工事のパターン
原状回復のための工事(原状回復工事)の代表的なパターンをご紹介します。実際にどの工事が必要になるかは、物件を借りた際に発生した契約状況によります。
スケルトン戻しや修繕のみ(居抜き譲渡)の場合など、契約締結を行った時の状態でも必要となる工事は変わってくるので、それぞれの違いを見ていきましょう。
スケルトン工事
これは設備や区画の何もない状態で明け渡すことを指します。この場合、テーブルや椅子などの備品はもちろん、壁や床もコンクリートの状態で、天井も配線が見えている状態にすることが必要です。
また、これについてはA工事・B工事・C工事と分かれており、誰にどの原状回復工事の費用が負担になるのか、また工事権限は誰にあるのかという区分があるため、それも併せてチェックしていきましょう。
まず表を見てから、各工事の説明を見ていきましょう。
発注 | 費用負担 | 業者選定 | |
A工事 | オーナー | オーナー | オーナー |
B工事 | 借主 | 借主 | オーナー |
C工事 | 借主 | 借主 | 借主 |
A工事
ビル全体の構造体や、共用部分の通路の壁や床などに関わる工事のことです。すべてオーナーが負担します。しかし、借主が共用部分などに傷をつけてしまった場合などは、その部分の修理費用を負担することもあります。
例
- ビルの外装・外壁
- 共用トイレ
- エレベーター
- 階段
- 消防設備 など
B工事
テナントを開く際に、借主側が造作などを依頼したときに、業者の選定のみオーナーが行い、発注と費用の負担を借主が行います。それを戻す場合には、造作した部分を戻すため、作るときと同じく業者の選定をオーナー、それ以外を借主が行う工事のことです。
例
- 空調設備
- 排水・排気設備
- 防水設備
- 電気設備 など
C工事
オーナーに工事の許可をとり、全てを借主側が決められる工事のことです。自分で業者選定が出来るのでコストを抑えることが可能になります。
例
- インターネット配線の戻し
- 照明器具
- 電話工事 など
このようにスケルトン戻しの中でも区分が分かれているため、契約内容や退去前にどの部分を自分が負担すればいいのか、確認しながら作業を進めていくことが大切です。
内装解体工事
カウンターや部屋の仕切りなどの造作のみを撤去する作業のことを指します。壁や天井の下地は撤去しないことがことんどですが、造作物を解体する際には、当たっている部分を壊すこともあります。工事区分を作業前に確認しておきましょう。
修繕工事
賃貸物件の床などの傷の修復や、ガス管や電気配線の修繕することを指します。入居前の状態に戻すことで資産価値を回復させることを目的としています。
廃棄物の撤去・処理
原状回復工事を行う際に発生した産業廃棄物を、専門業者に引き取ってもらわなければならないために、自身で業者を手配します。
原状回復工事を行った業者が引き取ってくれる場合もありますが、そうでない場合もあるので初めに業者を調べておくことをおすすめします。
また、オフィスやテナントのインテリアとして使用したテーブルや椅子など、自身で用意したものもリサイクルや処理を行わなければなりません。
産業廃棄物に関してはこちらの記事で詳しくまとめています。こちらも合わせてご参照ください。
原状回復はいつまでに行う?
オフィスやテナントで使用した物件は、退去日までに原状回復工事を完了させていることが必要になります。また工事が予定通り進まないこともあるので早めの計画や日程調整をすることをおすすめします。
6か月前から業者選定や見積りを出してもらい、余裕を持って、退去日の1~2か月前には発注を行いましょう。また、オフィスの原状回復は特に行程が多い作業です。最低でも半年から3ヶ月程度の期間を要するとされています。
オフィスの原状回復で必要な工事、手続き、行政処理はこちらの記事でまとめていますので、ぜひ合わせてご参考ください。
まとめ
撤去工事の種類について解説をしましたが、全て一概に言えるものではなく、物件を借りた際の契約内容や退去前に余裕を持ってオーナーと契約を再度確認することが重要です。早めの行動で計画を立て、満足の出来る退去を行いましょう!
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