2024/06/22
火災保険は退去時の原状回復費用に使える?補償の範囲や内容について実情を解説します
賃貸物件の原状回復費用に、火災保険を使えるケースがあるのをご存じですか?
アパートやマンションなどの賃貸物件を退去する場合、原状回復費用をどれぐらい請求されるか、不安に感じているのではありませんか?
でも、火災保険が使えるのなら、退去時の原状回復費用が安く済んでうれしいですよね。
とはいえ、どんなときに使えて、どんなときに使えないのか、どんな注意点があるのかなど、何かと分からないこともあることでしょう。
今回は、火災保険を退去時の原状回復費用に使う方法や補償の範囲・内容などについて、詳しくご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
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目次
火災保険の補償範囲とは?
一般的な火災保険では、以下のような理由による損害を受けた場合に、契約内容に沿った補償を受けることが可能です。
いずれも、自然災害などを含め、突発的で、自分では防ぎようのない理由になります。
- 火災・爆発
- 台風
- 地震
- 盗難
- 水漏れ
- 飛来物や落下物による破損
- 破損・汚損
ただし、火災保険の契約内容によって、細かな補償範囲が異なったり、特約を付けた場合にだけ適用されたりする場合があります。
賃貸物件の火災保険では「借家人賠償責任特約」に注目
アパートやマンションなどの賃貸物件を借りる際、契約時に加入する火災保険には、「家財保険」や「借家人賠償責任特約」が付随しているのが一般的です。
このうちの「借家人賠償責任特約」は、入居中、以下のような理由によって賃貸物件に損害を与えてしまった場合に適用されます。
- 火災
- 破裂・爆発
- 漏水
なお、通常、「借家人賠償責任特約」単体で契約することはできません。
また、掛け金については、賃貸物件の広さや工法(木造など)の種類によって決まっており、入居者が自由に選べないのが通常です。
火災保険の「借家人賠償責任特約」が使えるパターン
火災保険の「借家人賠償責任特約」が退去時の原状回復費用に使えるのは、以下のようなパターンです。
火災
自分の過失による火災による損害は、火災保険を使えます。
- 寝タバコが原因で火災になった
- ガスコンロから引火してキッチンの壁紙を焦がした
破裂・爆発
破裂・爆裂による損害も、火災保険を使えます。
- 冬場に凍結対策を怠ったために、水道管が破裂した
- 間違った使い方でガスコンロが爆発し、物件の壁を破損した
漏水
以下のような漏水による損害も、火災保険を使えます。
- キッチンのシンクから水漏れし、床が腐食した
- 洗濯機のホースが外れて水漏れし、廊下の床がはがれた
火災保険の「借家人賠償責任特約」が使えないパターン
残念ながら、以下のような場合は、火災保険の「借家人賠償責任特約」を退去時の原状回復費用に使うことができません。
経年劣化
経年による素材の劣化や変化については、火災保険の適用外になります。具体的には、以下のようなケースです。
- 日焼けによる壁紙や畳の色あせ
- 家具の設置による床や畳・カーペットなどのへこみ
通常摩耗によるもの
普通に生活することで自然に発生する傷や汚れなども、火災保険の適用対象外です。
- 入居者が設置したエアコンによる壁のビスの跡
- 壁にポスターやカレンダーを貼ったことによる画鋲やピンの跡
- テレビや冷蔵庫などの電化製品を設置したことによる背面の壁の黒ずみ
- 日常生活で自然に付いた床の細かな傷
入居者の不注意による過失
以下のような内容は、入居者の不注意による過失となり、火災保険の適用対象外となります。
- 子どもの落書きやペットの爪とぎなどで床や壁などにできた汚れや傷
- 喫煙による壁紙のヤニ汚れ
- 掃除を怠ったことによるキッチンの油汚れ
- 掃除を怠ったことによるシンク・浴室・洗面台などの水あか汚れ
火災保険を退去時の原状回復費用に使うときの注意点
火災保険を退去時の現状回復費用に使う場合、いくつかの注意点があります。それぞれ確認しておきましょう。
火災保険の請求期限内に手続きする
火災保険を退去時の原状回復費用に使いたい場合は、火災保険の請求期限内に手続きする必要があります。
火災保険の申請もしくは請求期限は、請求する理由が発生した翌日から3年間(保険契約開始日が2010年3月31日以前の契約は2年間)です。
請求期限を過ぎてしまうと、保険金を受け取ることができないので、注意しましょう。
火災保険の免責上限額までの補償になる
火災保険を退去時の原状回復費用に使えるのは、免責上限額までになります。したがって、大がかりな原状回復が必要な場合は、全額はカバーできないケースが多いでしょう。
カバーできなかった金額については、入居者もしくは貸し主が負担することになります。
退去後に発見された過失には申請できない
火災保険は、退去時に発見された破損などには申請できません。火災保険は、あくまでも、入居中に発生した損害に対して補償するものだからです。
そのため、退去時の原状回復費用に使いたい場合は、契約期間中に申請して受理される必要があります。退去後に申請しても、却下されてしまうので、気を付けてください。
納得できない点は保険会社や貸主と話し合う
原状回復すべき範囲や費用について納得できない場合は、保険会社や貸主とよく話し合いましょう。交渉する際には、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を根拠にすると話がスムーズです。
よくあるのが、入居当初からあった傷や汚れ、破損などを入居者の過失によるものとされて、原状回復費用を請求されるパターンです。
入居当初からあった傷や汚れ・破損などについては、そもそも入居者に原状回復義務がないことを、入居時に撮影した証拠写真などによってきちんと証明しましょう。
まとめ
賃貸契約時の火災保険には、「借家人賠償責任特約」が付随しているのが一般的です。アパートやマンションなどの賃貸物件を退去する際、火災保険の「借家人賠償責任特約」を原状回復費用に使えるかどうか、調べてみるとよいでしょう。
ただし、火災保険には3年間の請求期限がある、免責上限額までの補償になる、退去後は使えないなど、いくつか注意すべき点があります。確実に補償を受けるためにも、契約内容をよく読み、抜かりがないように申請しましょう。
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