2021/02/19
原状回復費用が高すぎると感じたら最初にチェックすること。国交省のガイドラインを参考にしましょう!
賃貸契約で借りている物件を出なければならないとき、原状回復を行う必要があります。しかし、原状回復費用ってこんなに高いの?見積もりを受け取ってびっくり!というトラブルをよく耳にします。
まずは慌てず、これからご紹介するチェックするポイントをチェックしてみましょう。また、原状回復に関する節約術は、こちらのカテゴリページで詳しく解説しています。ぜひこちらも合わせてご参照ください
目次
原状回復費用が借主に請求される仕組み
マンションやアパートなどの原状回復費用は、借主が入居時に支払っている「敷金(しききん)」から差し引かれて支払われます。つまり、原状回復費用が借主に請求されるときは、原状回復費用が敷金を上回っているということです。
原状回復の工事内容は、賃貸契約内容や建物の種類により異なりますが、内装の解体、鍵の交換、ハウスクリーニングやクロス(壁紙)の張り替えなどが行われます。
原状回復に関するガイドラインについて
実は、これらの原状回復に関するトラブルは非常に多いです。金銭トラブル、退去期限のトラブル、原状回復の対象となる部材をめぐるトラブルなど、毎年トラブルが後を立ちません。
それを受けて、国土交通省が「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を提示しており、住居利用に限り、原状回復の対象となる内装部材と負担範囲を定めています。
かなり長い文章ですが、お時間がある方はよく読み込んで知識を深めておきましょう。 実際に下記のリンクからガイドラインを読んでみてください。
国交省が定める原状回復の定義とは?
ここからは原状回復ガイドラインを端的に解説いたします。
原状回復ガイドラインでは、原状回復を「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の現象のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用をこえるような使用による損耗、 毀損(きそん)を復旧すること」と定義しています。
つまり、 家を借りている人の故意・過失により、家を壊したり傷つけてしまった場合は、その修復費用を借りている人が負担する義務がある、ということです。 逆に言えば、経年変化や通常の使用による損耗等の修繕費用は負担をする必要は無いというです。
そのため、原状回復費用が高すぎる!と感じたら、このガイドラインに記載してある内容をもとに、大家さんや管理会社と交渉しましょう。ガイドラインには沢山の事例が記載されていますので、自らの状況に当てはまるものを見つけることができれば、十分な交渉材料となります。
※毀損(きそん)とは
毀損とは物を壊す、壊れる事ことをさします。主に賃貸契約や物件契約の際に使われる言葉です。大まかな意味としては「壊してしまった箇所」と捉えておきましょう。 |
原状回復ガイドラインからダウンロードできる退去時のチェックリスト
原状回復ガイドラインには入退去時の物件及び原状回復確認リストという表の例が載せられています。玄関・廊下、台所・居間、浴室、洗面所、トイレなどの場所で、天井や壁、床など様々な箇所の損耗があるかチェックする項目があります。
入居時に事前にこのチェックリストを埋めておけば、その記入をもとに修繕の必要があるかを見極めることができますね。
入居時を逃してしまった場合でも、退去時にこのチェックリストをもとに自分で補修できる箇所を補修しておけば、原状回復費用の削減にも繋がります。
チェックリストのダウンロードはこちらから ※ワードファイルのダウンロードが始まります。 |
国土交通省-入退去時の物件状況及び原状回復確認リスト |
原状回復ガイドラインで定められている賃借人(家を借りた人)の負担範囲
基本的な考え方は初めに述べているように、原状回復で必要な工事は、毀損(きそん)部分の復旧です。
賃借人(家を借りている人)に原状回復義務がある場合(故意や過失によって家を傷つけてしまった場合)は、毀損部分を可能な限り補修工事を行った上で、さらにその後の補修費用分を負担することになっています。
原状回復ガイドラインで定められている経過年数の考慮
経年変化と、通常使用による損耗は、賃借人が修繕費用を負担する必要がない、と始めに言いましたが、それには理由があります。何故なら、経年変化、通常使用による損耗の費用は、生活する上で避けられないものであり、月々の家賃で既に払っていると考えられるからです。
ただし賃貸契約書の「特約」注意
しかし、この考えは全てに当てはまるわけではありません。入居記事の契約で「特約」として記載されている項目は、経年劣化でも賃借人が負担しなければなりません。 これがよくトラブルとなる原因です。
特に多い箇所が、 畳やフローリング、襖・柱、鍵、クリーニングです。これらは価値の減少が激しい箇所であるため、張替え等の費用は賃借人の負担とする特約が設けられていることがあります。
まずは、入居時の契約書を確認しましょう。逆に、この特約の記載がない場合は、上記の張替えはオーナー負担となる場合が多いです。
経年劣化に関しましては、こちらの記事でさらに詳しく解説しています。請求することで大幅に原状回復費用が安くなるケースもありますので、こちらも合わせてご参照ください。
原状回復の責任範囲でトラブルになりがちな例
最後に原状回復をめぐるトラブルでよく起こる事例をご紹介します。ぜひ皆様も、これからご紹介する損耗が、借り主とオーナー側、どちらが負担するべきか考えてみて下さい。
事例1:画鋲やピンで壁にいくつか穴を開けてしまった場合
カレンダーや額縁を掛けるために、画鋲やピンでいくつか穴を開けてしまった。 |
この場合、原状回復費用はオーナー負担となります。壁にカレンダーなどを貼るのは、通常の行為といえます。そのため賃貸人側が弁償する必要はありません。ただし、壁の下地の石膏ボードなどに届くほどの深い穴は、賃貸人負担となってしまう場合が多いです。
事例2:室内で吸ったタバコのヤニ汚れ
室内で吸ったタバコのヤニ汚れや臭いがキッチンの壁紙に染み付き変色してしまった。 |
タバコが原因の原状回復工事についてはタバコを吸った人=賃借人(借りている人)の責任であるとガイドラインでもされています。そのためタバコが関係する修繕費は賃貸人負担となります。
事例3:畳が日焼けしてしまった。
和室のカーテンを開けっ放しにすることが多かったため、畳が日焼けしてしまった。 |
日焼けや家具の重みによる凹みは通常損耗の範囲内です。そのため畳の交換費用を賃貸人が負担する必要はありません。
まとめ
原状回復は本当にややこしく、トラブルが多いです。 何も理解していない状態で部屋を出ると、余分な費用を払っているということもあるかもしれません。原状回復については国交省のガイドラインに細かく載っていますが、長くて読むことが難しい人などは、この記事が参考になれば幸いです。
また、原状回復費用相場についてはこちらのページで詳しく解説しています。ぜひこちらも合わせてご参照ください。
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